2023 Fiscal Year Research-status Report
4D flow MRIを用いた肝臓の線維化と門脈血行動態に関する非侵襲的評価
Project/Area Number |
22K15869
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
檜垣 篤 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90454850)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 4D Flow MRI / Liver cirrhosi / Hepatic morphology / Portal hemodynamics / Portal hypertension / Esophageal varices |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、以下の3つの課題に取り組んでいる。1) 肝硬変に伴う肝形態変化と門脈血流動態の関連性を4D Flow MRIを用いて調査、2) 門脈体循環シャントの治療介入前後の血行動態評価、3) 4D Flow MRIを用いた食道静脈瘤出血リスクの層別化。現在、課題1と2が完了し、論文として報告した。課題3は進行中である。 課題1では、肝硬変による肝形態変化と門脈血流動態の関連性を明らかにするため、100名の患者を対象に4D Flow MRIを用いた検査を実施。線維化の重症度に基づき、患者を正常、軽度から中等度、重度の3グループに分類し、右門脈および左門脈の血流動態を評価。結果、右門脈の血流量が初期段階で減少し、左門脈の血流量が進行に伴って増加することが明らかとなった。この研究は、肝硬変に伴う血流動態の変化を理解する上で重要な知見を提供し、肝硬変における形態学的変化のメカニズムの一つが明らかになった。 課題2では、肝硬変に伴う門脈圧亢進症による門脈体循環シャントの診断および管理における4DフローMRIの有用性を示す事例を報告した。4DフローMRIは、従来のCTや血管造影では困難だった詳細な血流動態の評価を非侵襲的に行うことができ、治療計画と経過観察において革新的かつ有効であることが示された。 課題3では、食道静脈瘤の出血リスク層別化を目指し、4D Flow MRIを用いた左胃静脈および奇静脈の血流評価を実施。これまでの方法では非侵襲的評価が困難だったため、本研究は大きな意義を持つ。現在、70名の患者を対象に解析中であり、今後、結果が得られ次第、非侵襲的な診断法の開発に繋げる予定。食道静脈瘤出血リスクの層別化に役立つ非侵襲的な診断法の開発につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題「4D Flow MRIを用いた肝臓の線維化と門脈血行動態に関する非侵襲的評価」は、肝硬変に伴う肝形態変化と門脈血流動態の関連性の調査、門脈体循環シャントの治療介入前後の血行動態評価、食道静脈瘤出血リスクの層別化の3つの課題に取り組んできた。肝硬変による右門脈と左門脈の血流量の変化を明らかにし、右門脈の血流量が初期段階で減少し、左門脈の血流量が進行に伴って増加することを示した。肝形態変化との関係性も評価し、肝硬変における形態学的変化のメカニズムの一端を解明するものとして報告した。また、従来のCTや血管造影では困難だった詳細な血流動態の評価を4D Flow MRIで非侵襲的に行うことが可能であることを実証し、論文で報告した。現在、食道静脈瘤の出血リスク層別化を進行中であり、非侵襲的な診断法の開発に向けた左胃静脈および奇静脈の血流評価を実施している。これまでの研究成果は、肝硬変および関連疾患の診断と治療において重要な知見を提供しており、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題3は、データ解析中である。解析が完了次第、統計解析や検討を迅速に行い、研究成果をまとめる。その際、研究グループ内で定期的に進捗状況を共有し、問題点や改善策について議論することで、研究の質を向上させる。また、今後の学会発表や論文発表に向けて、研究成果を効果的に伝えるプレゼンテーション資料や論文の作成を行う。適切な学会や雑誌を選定し、研究成果を発表し広く共有することで、今後の肝臓疾患の診断や治療に関する研究発展に貢献することが期待される。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、学会出張が少なかったことである。これにより、一部の予算が次年度に繰り越されることとなった。
次年度の使用計画としては、まずデータ解析と統計解析を迅速に完了させるために必要なリソースを投入する。また、文書校正のための費用も計上する。さらに、学会発表と論文報告で研究成果を効果的に伝える。これにより、研究成果を広く共有し、肝臓疾患の診断や治療に関する知見を深めることを目指す。
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Research Products
(7 results)