2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K15870
|
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 創大 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, 主任研究員 (00826092)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 炭素線治療 / 粒子線治療 / 飛程計算精度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、重粒子線イメージングシステムを構築し、高画質化のために使用する核種を最適化し、臨床利用のための目標である空間分解能1 mm、画素値分解能1%の重粒子線CT画像取得であった。2023年度は、2022年度までに構築した厚みをもったシンチレータとカメラを用いた重粒子線イメージング手法の実証実験を炭素線を用いて実施した。シンチレーションの光量と重粒子線の飛程の変換テーブルを用いることによって、二次元投影データとして重粒子線の飛程分布をカメラで取得することに成功した。得られた投影データから炭素線CT画像の取得に成功した。空間分解能を測定するためのアクリル円柱にいくつもの空洞が空いたラインペアファントムの炭素線CT画像を解析した結果、Modulation transfer functionの10%で3.50 lp/cmという結果を得た。空間分解能1.4 mm相当の結果であり、人の頭の直径くらいの大きさを持つファントムで目標の1 mmに近い結果を得ることができた。また、空気、エタノール、水、40%リン酸水素二カリウム水溶液の円柱を含むファントムの炭素線CT画像の結果より、画素値が1.8%以内の精度で得られた。頭頸部ファントムの炭素線CT画像取得も成功している。これらの結果より、人の頭に相当する大きさを対象とした炭素線CT画像が臨床利用可能な精度に近づいているといえる。量子科学技術研究開発機構では炭素より重い粒子線である酸素線が利用可能であり、最高エネルギーで頭頸部を通過することが可能であるため、酸素線CTの可能性も検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提出した計画に沿って研究開発は行われており、順調に研究開発が進んでいることから、現在までの研究開発の達成度はおおむね順調に進んでいると評価した。2023年度に実験結果から空間分解能や画素値精度等の画像の評価まですることができたため、順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験による酸素線CT画像取得とその画質評価を行っていき、これまでの結果を踏まえて粒子線CT画像撮影のための核種の最適化を検討していく。その結果からrange uncertaintyの評価や最適なrange marginの提案、そして粒子線治療の多門照射やアーク照射に適用したときのインパクト等を評価していく。
|
Causes of Carryover |
2023年度は国際学会での発表を行わなかったが、2024年度に国際学会で発表する予定となっている。
|