2022 Fiscal Year Research-status Report
AI技術を用いた陽子線治療における体内線量分布評価システムの研究
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22K15873
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Research Institution | 福井県立病院(陽子線がん治療センター(陽子線治療研究所)) |
Principal Investigator |
松下 慶一郎 福井県立病院(陽子線がん治療センター(陽子線治療研究所)), 陽子線治療研究所, 研究員(医学物理士) (10769847)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 深層学習 / 陽子線治療 / PET |
Outline of Annual Research Achievements |
陽子線治療はブラッグピークを利用した高い線量集中性を有する優れた治療法であるが陽子線治療の利点を最大限に活かすためには、実際の陽子線照射領域、体内飛程及び体内線量分布を評価することが重要である。 人体に陽子線を照射すると入射陽子と人体を構成する原子核が衝突し原子核反応を引き起こす。これにより陽電子放出核が生成され消滅ガンマ線が放出される。この消滅ガンマ線の強度分布をPETで測定することで陽子線の照射領域を観測することが可能である(放射化PET)。しかし物理反応の違いにより消滅ガンマ線の強度分布と陽子線の飛程・線量分布を直接対応付けることは困難である。 本研究ではモンテカルロシミュレーション技術及びAI(深層学習)技術を用いて、陽子線照射により発生する消滅ガンマ線分布から陽子線の飛程及び体内線量分布を評価することができる深層学習システムの研究・開発を目的とする。 本年度は基礎的な検討を進めるために、モンテカルロシミュレーションを用いて陽子線スキャニング照射による陽子線飛程・線量分布及び生成陽電子放出核分布データを作成した。それらを教師データとして陽子線飛程・線量分布と陽電子放出核分布を対応付ける深層学習モデルを構築した。深層学習モデルの構築にはTensorflowを用い、学習モデルにはU-netを用いた。構築したモデルにモンテカルロシミュレーションで作成した教師データを学習させ、教師データに含まれない陽電子放出核分布を入力し、出力された予測線量分布の評価を行った。途中経過を第124回日本医学物理学会学術大会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は深層学習モデルの構築及びモンテカルロシミュレーションを用いた初期検討を実施した。モンテカルロシミュレーションコードGeant4を用いてスキャニングビーム照射による線量分布及び陽電子放出核生成分布のシミュレーションを行った。ターゲットは512×512×512mm3の立方体とし組成は水を用いた。初期検討ではシミュレーションにより得られた線量分布及び陽電子放出核(11C,15O…)の生成分布をビーム進行方向に平行なXY平面にプロジェクションした256×256ピクセルの二次元画像とした。線量分布・陽電子放出核分布は最大値で規格化を行い教師データを作成した。 深層学習モデルの構築にはTensorFlowを用い、学習ネットワークにはU-Netを用いた。構築したモデルに教師データとしてシミュレーションで作成した線量分布と陽電子放出核分布をセットで学習させた。モデルの学習後、教師データに含まれない陽電子放出核分布を入力し予測線量分布を取得した。ペンシルビームのビーム進行方向プロファイルを予測分布、正答分布で比較を行った。ブラッグピークのDistal側80%線量位置で飛程を比較し、0.1mm程度の精度で予測することができた。SOBPを用いた複雑な形状の線量分布はγ解析で評価を行った。γ解析の結果、判定基準3mm3%の場合パス率97%の精度で予測線量分布を出力することができた。途中経過を第124回日本医学物理学会学術大会にて報告を行った。 初期検討ではシミュレーションに用いたターゲットが均一な物質であり、また陽電子放出核の時間減衰も無い理想的な状態であるため精度良く線量分布を予測できたと考えられる。現在、生成陽電子放出核の時間減衰及び不均質なターゲットへの照射を考慮したシミュレーションを実施し、教師データの作成、モデルの改良を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は均一なターゲットへの陽子線照射を考慮したシミュレーションを実施し教師データの作成、深層学習モデル構築を実施した。今後不均質なターゲットへの照射及び生成陽電子放出核の時間経過による減衰を考慮したシミュレーションを実施し、教師データの作成を行う。そして深層学習モデルの改良を実施する。 また水ファントムやポリエチレンブロック等組成が把握できるシンプルなターゲットに陽子線治療計画を立てて陽子線照射、放射化PET測定実験を行う。構築した深層学習モデルに、測定した放射化PET画像を入力し、出力される予測線量分布・飛程と治療計画線量分布・飛程を比較検証する。結果に応じて深層学習モデルの改良を行う。進捗状況に応じて体幹部ファントム等を用いての陽子線照射実験、放射化PET測定、モデル検証も実施する。
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Causes of Carryover |
深層学習用ワークステーションの構成の見直し及び部品価格の変動により、当初予定よりワークステーションの価格が下がったため差額が生じた。翌年度分と合わせ学会参加費、ファントム等の実験用物品、データバックアップ用ストレージ、消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)