2023 Fiscal Year Research-status Report
動的核偏極(DNP)法を用いた超偏極MRIによる脱髄性疾患の早期診断法開発
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22K15878
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
永田 翔馬 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (10846687)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 超偏極MRI / 脱髄性疾患 / dissolution DNP / in vivo DNP |
Outline of Annual Research Achievements |
脱髄性疾患として多発性硬化症や視神経脊髄炎の頻度が高いが、近年、免疫チェックポイント阻害薬による神経系免疫関連副作用(immune-related Adverse Events: irAE)としての脱髄性疾患が注目されている。現在のMRIで診断可能な脱髄が進行した状況においては、炎症や浮腫の結果、血液脳関門が破壊された状態であり、病態としては非常に重く、しばしば侵襲的な脳脊髄液検査を必要とる。故に、神経脱髄による脳内炎症もしくは代謝変動を早期かつ高感度に検出する技術の開発が必要である。超偏極法(Hyperpolarization)は電子スピンのエネルギーを核スピンに遷移させ(オーバーハウザー効果)核磁気共鳴信号を数十~ 数万倍に増幅する技術で機能分子プローブを用いてMRIで様々な炎症や酸化還元状態の変化などの可視化を可能にする技術である。本年度は銅キレート剤としてしられているクプリゾンを0.2%含むマウス用の餌を作製しDNP-MRIおよびdissolution DNPでの解析を行うための脱髄モデルの作製し、DNP-MRI計測においては血液脳関門透過性プローブであるMC-PROXYLを用いた実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脱髄疾患モデルとしてクプリゾン暴露モデルが報告されている。本モデルでは銅キレート剤であるクプリゾンを混餌(0.2%)したマウスを作製して脱髄モデルを作製し1.5TMRIを用いてマウス脳を経時的に撮像を行った。 in vivo DNP法では、ニトロキシプローブ(BBB透過性プローブ:MCP)をレドックス応答性造影剤として用いる。尾静脈投与した後、体外から電磁波を照射することでDNPを誘発する。ニトロキシプローブに対する酸化還元(レドックス)反応が生じると、ニトロキシプローブのMRI信号が消失する。生体内において、電子の授受(レドックス)はエネルギー産生や活性酸素種の産生など様々な反応において行われているが、炎症状態ではレドックス反応が亢進することが知られていることから、本モデルマウスを用いたDNP-MRIによる脳内のレドックス状態の可視化の実験を実施中である。計画ではデータ収集完了している予定であったが、実験遅延により現在も収集中である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討において、脱髄病態モデルの進行に伴い脳内のレドックス状態が変化が示唆されている。今後は、クプリゾンを給餌開始後、様々な期間における 脳内のレドックス状態を解析すると共に、dissolution DNP法を用いた13Cピルビン酸による脳内のエネルギー代謝変動との関連性を検討する。
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Causes of Carryover |
実験がやや遅延しているため、併せて消耗品等の購入を延期した。翌年度分の助成金と合わせて、引き続き実験動物および飼料、実験試薬、MRIの消耗品購入などに合わせて 用いる。
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