2022 Fiscal Year Research-status Report
MRSを用いたNAFLとNASHの鑑別および早期NASHの診断の試み
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22K15881
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
成田 圭吾 広島大学, 病院(医), 助教 (50805629)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患は、脂肪沈着のみをきたす非アルコール性脂肪肝(Non-alcoholic fatty liver: NAFL) とこれに肝細胞障害や炎症、線維化を合併する非アルコール性脂肪性肝炎 (Non-alcoholic steatohepatitis: NASH)に分類される。NAFLの予後は健常人とほぼ同等である一方で、NASHは肝不全や原発性肝細胞癌の発生といった致命的な病態に陥る可能性があり、両者は鑑別されなければならない。NASHの確定診断は針生検による病理学的診断であるが、侵襲的な検査であるため、画像による非侵襲的な評価が望まれるが、特に肝線維化が軽度な早期NASHの診断は難しい。MR spectroscopy (MRS)は脂肪を含む生体内の化合物およびその量を非侵襲的に測定するMRIの撮像方法であり、脂肪を成分別に評価、さらに同時に脂肪以外の化合物の評価も可能である。本研究では、MRSを用いて脂肪成分の分析や脂肪以外の成分を評価することで、NAFLとNASHを鑑別できる成分を明らかにし、早期NASHの診断を試みることを目的とし、本研究を開始した。 まず肝に対し安定したMRSの撮影・解析ができる手法の確立をめざし研究を開始したが、MRSは解析に時間を要する。よって検査終了後に解析不能なデータ収集であることが判明する症例は少なくないという問題が発生した。またMRSは撮像範囲が1cm立方と限られているため、肝のごく一部しか評価できないといった欠点がある。よって、現在全肝に対しMRSで得られる情報を評価できる手法の模索を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述のごとく、MRSは安定したデータ収集が困難であり、なおかつ撮影範囲も限られていることから、全肝に対しMRSで得られる情報を評価できる手法が必要であると考え、その模索を始めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Multipoint Dixon法はMRIの撮影方法の一種であるが、全肝を対象にボクセル(デジタルデータの立体表現における最小の立法体の単位)毎の脂肪を定量することができ、安定した撮像手法である。Multipoint Dixon法はMRSと比較すると普及した撮像方法であるが、MRSと異なり、脂肪成分の割合の算出や脂肪以外の成分の評価はできない。よってMultipoint Dixon法を改良し、それぞれの脂肪の成分や脂肪以外の成分の割合を算出できるような手法を確立できれば、全肝においてボクセル毎にMRSで得られるような情報が取得可能となると考えられ、現在申請者は研究協力者(西原崇氏、檜垣徹氏、中村優子氏)の協力を得ながら、Multipoint Dixon法の改良に取り組んでいる。
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Causes of Carryover |
該当年度は新型コロナウイルス感染症の影響で海外への学会へ行くことができなかったことやMRSで生じた問題解決の検討に時間を要して研究をうまく進められなかったことなどにより次年度使用額が生じた。使用計画としては次年度では新型コロナウイルス感染症に対する規制が緩和されているため海外学会への参加が可能と思われ、これらへの参加費に使用する予定である。また、MRSの問題解決後の研究データ保存媒体などに費用を充てる予定である。
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