2022 Fiscal Year Research-status Report
4D-similarity filter を応用した低侵襲心筋 CTP 開発
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22K15882
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
吉田 和樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (20898168)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋CTパーフュージョン / 虚血性心疾患 / 心臓CT / 冠動脈CT / 冠動脈疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究の目的> 虚血性心疾患の診断と治療方針の決定においては、冠動脈狭窄の評価と心筋虚血評価の両者が重要である。我々は複数時相(20-30心拍)を撮影する Dynamic 心筋 CT perfusion (CTP) を用いた心筋虚血評価法を考案し、世界に先駆けてその臨床的有用性を報告してきた。しかし、多くの心時相の撮影を必要とすることから、被ばく線量が高いことが問題となり、臨床普及には制限があった。本研究では、新たに開発された画質向上技術である4-dimensional similarity filter(4D-SF)を使用して1回線量の低下をはかるとともに、CTPの撮影回数を5分の1に減少させることにより、診断能を保ちながら、より低侵襲な心筋 CTP撮影プロトコルの開発を目的とする。 <研究の方法及び結果> 1. 新たな CTP 撮影プロトコルの開発:4D-SFが作動する最小撮影回数は4回であることが分かった。臨床応用を考慮すると、1回分の安全マージンを設けて(4D-SFが作動しないといけないため)、5回の低線量撮影を行い、ポストプロセッシングとして4D-SFを使用する低被ばくCTPプロトコルが妥当であると考えた。2. 新たなCTP 撮影プロトコルの臨床的有用性を評価する:妥当性を評価するに際して、前向きに撮影せずともすでに得られているdynamic CTPデータを解析することにより、診断能及び被ばく線量の計算ができることが判明した。そのため、27患者、81血管に関してDymnamic CTPを撮影された患者のデータを後方視的に解析した。診断能及び被ばく線量に関して、侵襲的カテーテル検査を答えとして、感度は86%、特異度は91%、陽性的中率は83%、陰性的中率は92%と高い診断能であった。また、被ばく線量は約1.0 mSvと低線量での撮影を行えることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点で、本研究は大きく2段階の進捗を予定していた。1. 新たな CTP 撮影プロトコルの開発phaseと2. 新たなCTP 撮影プロトコルの臨床的有用性を評価するphaseである。既に1. 新たな CTP 撮影プロトコルの開発phaseは完了しており、2. 新たなCTP 撮影プロトコルの臨床的有用性を評価するphaseに進めることができている。診断能及び被ばく線量に関しては既に算出することができており(今後の症例数の蓄積により多少の変動はあると思われるが)、従来のDynamic CTPの被ばく線量の約10分の1、Static CTPの5分の1程度となることが判明した。これは、期待している以上の放射線被ばく逓減であり、本研究の途中経過ではあるが、要旨を既に第82回医学放射線科学会総会にて報告することができている。
また、高い診断能が示せていることに関して、考察を深めるために、新たな追加解析を行っている途中である。1つめは撮像タイミングが適切であるかということ、2つめは従来20-30回撮像することを前提に考案された4D-SFが5回という少数回の撮影でも、画質向上効果が示せているのかを検討することである。1つめに関しては心筋造影効果のピークタイミングがきちんと撮像時相に含まれているかを検討中である。2つめに関しては、noise, SNRやCNRといった定量的画質評価のパラーメータを算出し、4D-SFの有無によって比較検討している途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、1. 従来の撮影方法である、dynamic CTPやstatic CTPとの診断能を後方視的に検討していくphase、2.結果をまとめて学会報告及び論文化を行うphaseに進めていく予定である。1 に関して、症例数を追加しながら、1回撮像のstatic CTPにおける定性評価の診断能、Dynamic 心筋CTパーフュージョンにおけるMBF(myocardial blood flow)の定量的診断能と、新たな低被ばく心筋CTP撮像プロトコルにおけると定性的診断能の比較を、ROC曲線の比較を用いて行う。また、その際に現在解析途中である<撮像タイミングが適切であるか>ということと、<従来20-30回撮像することを前提に考案された4D-SFが5回という少数回の撮影でも、画質向上効果が示せているのか>という事象に関連する検討も併せて多角的に比較検討していく予定である。
2に関して、結果がまとまれば、心臓CT関連で最も大きな国際学会である18th Annual Scientific Meeting of the Society of Cardiovascular Computed Tomography in Bostonに応募し、演題採択にチャレンジする所存である。その後、学会でのdiscussion内容をふまえ、文献的考察を深めていき、最終的に論文作成、投稿へと進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)