2022 Fiscal Year Research-status Report
ホスホジエステラーゼ5阻害薬:タダラフィル投与による胎児発育改善のメカニズム解明
Project/Area Number |
22K15896
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
真木 晋太郎 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90794371)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胎児発育不全 / タダラフィル / sFlt-1 / PlGF |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児発育不全(Fetal growth restriction: FGR)、妊娠高血圧腎症(Preeclampsia: PE)は、胎盤形成期における胎盤の形成不全により本来の胎児への血流をもたらす胎盤機能が不十分であることによって引き起こされ、胎児胎盤虚血、酸化ストレスによる血管新生因子、抗血管新生因子のバランスに乱れが生じる。タダラフィルはPDE5阻害薬であり、胎盤に広く発現するPDE5に作用することにより胎児胎盤循環の改善させることを期待し、我々は研究を行っている。 fms-like tyrosine kinase 1(sFlt-1)とplacental growth factor (PlGF)は胎盤由来の血管新生関連血清マーカーであり、胎盤機能不全に対する治療薬であるタダラフィルによりその血中濃度の変化が予測される。 今回、妊娠高血圧症候群(PE、妊娠高血圧症(Gestational hypertension: GH)、高血圧合併妊娠(Chronic hypertension: CH))を発症した母体の1週間ごとのsFlt-1とPlGFの値を計測し、重症化し分娩に至るまでの期間との相関を検討した。その結果PE13例でsFlt-1値が分娩までの期間に相関することを示した(R=-0.61, P=0.03)。またPE、GHにおいて、sFlt-1が経時的に分娩まで上昇していた。胎盤機能不全との関連はないとされるCHではその傾向は示されず、胎盤機能不全を有するPE、GH症例では、重症化し分娩に至るまで無治療の症例ではsFlt-1が上昇すると考えられた。タダラフィルによる治療効果の判定に有用であることが想定され、今後研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の内容は①超音波ドップラー法によりタダラフィル治療を行った症例の胎児-胎盤循環の変化を評価し、②angiogenic factorである母体sFlt-1、PlGFをタダラフィル内服前後で継時的に計測し、胎児胎盤循環不全に対するタダラフィルの有効性を検証することである。 ①に関してはデータの集積を行っているが症例の十分な集積に至っていない。 ②は前述の通りタダラフィル治療を行っていない胎盤機能不全症例においてデータの集積を行っているが、タダラフィル治療を行った症例に関しては十分なデータの集積ができていない。 研究の遅れに関しては新型コロナウイルス感染症の流行などで医療体制が逼迫していたことも原因として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はタダラフィル治療を行った胎児発育不全症例における超音波ドップラーによる胎児胎盤循環の評価を継続的に行い、またangiogenic factorであるsFlt-1、PlGFの評価も行う。
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Research Products
(2 results)