2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the therapy for mitochondrial diseases
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22K15905
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ヌルン・ナハール ボルナ 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (30849609)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア病 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア病は5,000人に1人の割合で発症するとされる最も頻度の高い先天代謝異常症である。ミトコンドリアの機能低下を共通の症状とするが、その原因遺伝子は400以上も同定されており、様々な年齢・臓器で発症し、発症機序も多岐にわたるため根治療法の開発には至っていない。本研究課題ではミトコンドリア病治療法の開発を目的とし、ミトコンドリアに局在する酵素Xに着目して研究を行なった。酵素Xはミトコンドリア病の原因遺伝子でもあり、少なくとも2種類のスプライシングバリアントが存在し、細胞内機能において重要な代謝物の調節に関わっている。まずは酵素Xの幅広い有効性を確認するために、複数種の異なる原因遺伝子を持つミトコンドリア病患者由来の皮膚線維芽細胞を用いて酵素Xの2種類のスプライシングバリアントについて安定発現株を作製した。ウェスタンブロッティングにより酵素Xの発現やそれぞれの患者細胞の原因遺伝子の発現の変化を確認した。ミトコンドリア病患者由来細胞は増殖能の低下が見られることがあるので、これらの細胞の増殖能を経時的に細胞数を数えることにより解析した。また、ミトコンドリア機能はルシフェラーゼ発光を指標としたATPアッセイにより評価した。これらの結果より、患者細胞の種類やスプライシングバリアントにより程度の違いはあるが、酵素Xの過剰発現が複数種の患者細胞の増殖能やATP産性能を回復させることがわかった。代謝酵素Xは複数の代謝経路に関与しているので、酵素Xによる患者細胞機能回復の分子機構や代謝経路を明らかにするためにメタボローム解析を行った。以上の結果より、酵素Xがミトコンドリア病に対する治療法開発のターゲットとなる可能性が示唆された。
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