2022 Fiscal Year Research-status Report
Rab11A遺伝子変異に起因する知的障害の病態解明
Project/Area Number |
22K15912
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
常浦 祐未 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, リサーチレジデント (80907858)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 知的障害 / 発達障害 / 神経発達 / 小胞輸送 / RAB11A |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量GTPaseの一種であるRAB11Aは、GTP結合型(活性化型)とGDP結合型(不活性化型)とをサイクルすることで分子スイッチとして機能し、小胞輸送の制御を介して細胞の分化・増殖・移動に極めて重要な役割を担っている。これまでに知的障害患者からRAB11Aの複数の遺伝子変異が報告されていることから、RAB11Aの機能不全が知的障害発症の原因となると考えられた。しかし、RAB11Aが神経発達過程に果たす役割は未だに不明な点が多く、RAB11A遺伝子変異による知的障害の分子病態機構はこれまで全く検証されていない。そこで本研究では、神経発達におけるRAB11Aの機能と、疾患変異型RAB11Aが神経機能に与える影響を解析し、RAB11A遺伝子変異による知的障害の分子病態機構を明らかにすることを目的とする。今年度は、抗RAB11Aモノクローナル抗体作製に着手し、複数のハイブリドーマ候補株が得られた。また、疾患変異型の一つであるRAB11A-R33Pの生化学的活性と、神経細胞およびオリゴデンドロサイトの細胞形態に及ぼす影響をin vitroで検証した。RAB11A-R33Pは野生型RAB11Aと比較して、GTPase活性が著しく低下していた。また、初代培養神経細胞にRAB11A-R33Pを強制発現させると、軸索および樹状突起の伸長が亢進した。さらに、培養オリゴデンドロサイトにRAB11A-R33Pを強制発現させると、細やかな細胞突起を形成することが明らかとなった。これらの知見から、RAB11A-R33Pは神経細胞とオリゴデンドロサイトの形態異常を引き起こし、大脳白質形成不全や知的障害の発症に結び付くことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患変異型RAB11A-R33Pの機能解析に関して研究成果が得られたため、論文投稿に向けて準備中である。また、他の変異体についても同様の手法で解析を進められる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
モノクローナル抗体のバリデーションを確認した後、免疫組織化学法によって脳内RAB11A発現分布を明らかにする。また、他の疾患変異型RAB11AのGTPase活性測定と、神経細胞およびオリゴデンドロサイトの細胞形態に及ぼす影響を解析する。さらに、眼窩静脈叢からAAVベクターを投与することでマウス脳内に疾患型変異型RAB11Aを強制発現させ、RAB11A遺伝子変異が神経機能に及ぼす影響をin vivoで検証する予定である。
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Causes of Carryover |
産休・育休を取得し、当初の計画より研究に従事する時間が減少したため。
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