2023 Fiscal Year Research-status Report
IL-17RC異常症の病態解明と新規IL-17Fシグナル伝達経路の同定
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22K15921
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
玉浦 萌 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (60876762)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性皮膚粘膜カンジダ症 / IL-17シグナル伝達 / IL-17RC異常症 / IL-17F |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、慢性粘膜皮膚カンジダ症(CMCD)患者において新規のIL17RC遺伝子変異を同定し、その病的意義を明らかにした。患者ではIL17RC遺伝子のエクソン13を含む131塩基対の重複変異がホモ接合性に認められた。患者由来線維芽細胞を用いた機能解析により、IL17RC mRNAとタンパク発現の低下、IL-17A刺激に対する反応性の欠如が確認された。さらに、変異型IL17RCを導入した細胞ではIL-17Aシグナル伝達が回復せず、一方で野生型IL17RCの導入によりIL-17A反応性が回復した。これらのことから、本変異がIL-17RCの機能喪失型変異であり、CMCD発症の原因であることが示された。
また、IL-17RCをノックアウトしたHeLa細胞を用いた機能解析系を新たに確立した。過去に報告されたIL17RC変異や、本研究で同定した新規変異がいずれも機能喪失型であることを実証し、樹立した実験系が変異の病原性を明確に判別できることを示した。さらに、患者、IL-17RA異常症および健常者由来線維芽細胞をIL-17A刺激した上でRNA-seq解析を行い、IL-17RAの欠損と同様に、IL-17RC欠損によってIL-17Aシグナル伝達が消失することを明らかにした。一方、IL-1βシグナル伝達には影響しないことも確認した。
本研究の成果として、IL17RCの新規変異を発見し、その機能喪失性を証明することでIL-17RC異常症の疾患概念を確立した。さらに、IL-17RCの変異の病原性を評価する実験系を構築したことで、今後同定される変異の機能解析が容易になると期待される。なお、本研究の成果は、「Isolated Chronic Mucocutaneous Candidiasis due to a Novel Duplication Variant of IL17RC」として論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまでの研究では、IL-17RA-IL-17RC受容体を介したIL-17Aの反応性を検証するにとどまっており、その他のシグナル伝達経路を検証する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-17RA-IL-17RC受容体以外の受容体を介したIL-17Fシグナル伝達経路の検証を進める。
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Causes of Carryover |
予定した研究計画の実施が遅れており、次年度使用額が発生した。IL-17RCホモ受容体を介したIL-17Fシグナル伝達経路の検証をさらにすすめる予定である。
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