2023 Fiscal Year Research-status Report
骨形成不全症特異的破骨細胞機能亢進を標的とした新規治療法の開発
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22K15940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大幡 泰久 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20805460)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 骨形成不全症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨形成不全症(OI)は主にⅠ型コラーゲン異常に起因する、骨脆弱性を主徴とする遺伝性骨系統疾患である。本疾患において破骨細胞機能亢進が報告されており、骨脆弱性の病態に寄与していると考えられるが、その病態機構の詳細は不明である。申請者らはこれまでにCOL1A2遺伝子にフレームシフト病的バリアントをホモ接合性に有した場合、骨脆弱性を認めるoimマウスにおける研究から、破骨細胞機能の亢進と、RNAseq網羅的解析により、破骨細胞機能亢進を惹起しうる候補分子の発現が増加していることを確認した。そこで本因子をoimマウス初代培養破骨細胞を用いて検出を試みたがELISAでは検出し得なかった。 これまでCOL1A2フレームシフトバリアントをホモ接合性に有するoimマウスを用いて実験を行っていたが、ヒトのOIではCOL1A1とCOL1A2のグリシン置換バリアントをヘテロ接合性に有する場合に重症型を取ることが知られている。そこで申請者らはヒトの重症型OI患者と同じ位置にグリシン置換を有する新規ノックインモデルマウス(KIマウス)を作出した。KIマウスの表現型解析を行ったところ、12週齢マウスにおいてμCTで第5腰椎の骨量低下、海綿骨厚低下、海綿骨数低下、骨密度の低下を確認した。また遠位大腿骨においても同様に骨量低下、海綿骨数の低下を確認した。次に骨強度を確認するため3点曲げ試験を行ったところ、最大荷重低下、骨折最大エネルギー低下を確認した。これらのマウスでは野生型マウスと比較して低体重ではあるが、自然発症の骨折は認めず、野生型マウスと同等に長期生存することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでCOL1A2のホモ接合性バリアントで骨脆弱性を呈するoimマウスによる解析を進めてきたが、今回実際の人の患者と同じバリアントを有するモデルマウスを作出し、そのマウスにおける表現型解析を行う必要があったため、研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作出し骨形成不全症の病態を認めるKIマウスにおいて、oimマウスと同様に破骨細胞初代培養を行い、骨形成不全症における破骨細胞機能亢進の病態を、異なる二つのモデルマウスで検出することで、共通した病因を検討し、さらには遺伝学的異常に依存しない新規治療法の開発を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は新規マウス導入後の表現型解析が主であり、本マウスの病態解析の研究が次年度になるため、次年度使用額が生じた。
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