2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis for the mechanisms of right heart failure rat model with pulmonary artery banding under hypoxia treatment
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22K15951
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 怜司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20595194)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 右室不全 / 低酸素 / ミトコンドリア / 血管新生 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後4週ラットを用いて、外科的に肺動脈絞扼術を施行した右室圧負荷モデルの作成が可能であった。更に低酸素飼育(FiO2 13%)による環境負荷においても大気飼育モデルと比較して有意差なく生存することが可能であり研究遂行が可能と判断した。 各モデルの作成を継続し、右室負荷所見の確認は術後翌週より1週ごとに生理学的検査(経胸壁心臓超音波検査)を行い、主肺動脈に絞扼が行われていることと、術後3週時の解剖時に経心尖より心臓カテーテル検査を行い右室圧を測定した。 また、術後3週で摘出した心臓組織を用いて右室線維化の評価と右室自由壁/左室および心室中隔の重量比算出により各群の右室負荷による影響を評価した。現在までに各群10匹程度のサンプルを収集することが出来た。 更に電子顕微鏡を用いた心筋観察により、心筋ミトコンドリア構造の評価を行なっている。 これまでのデータより術後3週で大気および低酸素飼育群間で有意差なく右室負荷を得られており、左室に対して80%程度の収縮期圧を得ている。本結果はマウスで得られる右室圧上昇よりも強度であり、右室不全研究において適していると判断される。更に、観察されたミトコンドリア形態では圧負荷、低酸素負荷共にミトコンドリア形態と数に影響を与えるが、両方の負荷を与えた本モデルでは相乗したミトコンドリア形態への影響は認められず、何かしらの保護作用が生じている可能性が示唆された。本結果はこれまでも報告されておらず、注目すべきデータと判断している。 今後は上記の検査データの解析と、組織を用いた免疫染色およびqPCR等を行う予定である。また、バリウムを用いた造影CTを行い冠動脈形態の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年間の研究において、低酸素飼育を行うためのガスレギュレーター、ガスコントローラー、ガスセンサーの経年劣化が明らかとなった。これに伴い新たな機器を購入する必要が生じ、輸入品であるため実験再開に数ヶ月の時間を必要とした。 また、現在の石油燃料高騰や円安ドル高の影響を受けて、購入当時と比較して高額の費用が必要となっている。 この状況は実験に必要な試薬や機器購入に関しても同様であり、以前と比較して時間を要していることが否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに得られた検査データの解析と、組織を用いた免疫染色およびqPCR等を行う予定である。また、バリウムを用いた造影CTを行い冠動脈形態の評価を行う予定である。 カテーテル検査においては純粋な心室圧のみではなく、PVループを描いてデータを得ており、心室収縮および拡張特性を評価する。 これまでの結果より、ミトコンドリア動態への影響と心筋繊維化、および心室血管新生において所見が得られてきており、これらの影響因子の同定を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2022年において低酸素飼育に用いるガスセンサーやコントローラーの経年劣化により実験を中断せざるをえない状況が生じた。このため、実験において予定よりも施行動物数の減少が生じており、使用金額の減少に繋がった。次年度には上記機器の購入が必要であり、次年度予算と合算した中から支出する予定である。 また、安定して実験が遂行できた場合に研究試薬購入を進めていくため、2022年と比較して多くの費用が必要となると予測している。
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