2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the regulatory mechanism of pancreatic cancer and development of novel therapeutic agents through cellular senescence of pancreatic stellate cells
Project/Area Number |
22K15956
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝川 哲也 東北大学, 大学病院, 助教 (70836882)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 膵星細胞 / 膵癌 / 細胞老化 / SASP因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌周囲の線維化形成に中心的な役割を果たす膵星細胞(PSC)の細胞老化とSASP因子に着目して、新しい膵癌制御機構の解明と老化膵星細胞をターゲットした新規治療法の開発を目指して本研究を開始した。 ヒトから単離したヒトPSC(hPSC)を過酸化水素と抗癌剤であるゲムシタビンで細胞老化を誘導した。老化膵星細胞の培養上清を収集し、膵癌細胞株に添加すると膵癌細胞の増殖能・遊走能・浸潤能が増強された。老化・非老化膵星細胞両者からtotal RNAを抽出しマイクロアレイにて解析したところ、老化膵星細胞において老化関連遺伝子群の変化とともにCXCL1、CXCL2、CXCL3といったケモカイン類が大きく上昇していた。またCXCL1は老化hPSCの培養上清中でも上昇することをELIZA法で確認した。これらCXCLs受容体の阻害剤であるSB225002とSCH-527123を加えることで、老化膵星細胞の培養上清による膵癌細胞への増殖能・遊走能・浸潤能増強効果がキャンセルされた。これらの結果により、老化膵細胞はSASP因子としてCXCL1、CXCL2、CXCL3を分泌し、これらが膵癌細胞に作用することで悪性度獲得に寄与する可能性を明らかにした。 老化膵星細胞をターゲットとした新規薬剤を探索するため、ハイスループットスクリーニング検査による網羅的解析を予定したが、評価対象の老化・非老化膵星細胞株の確立が難しく実験系の確立が困難であった。現在は、既報を参考に複数の老化細胞を選択的に死滅させるセノリティクス薬を候補薬として準備し、個々に評価を行っていく予定である。
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