2023 Fiscal Year Annual Research Report
劇症肝炎治療法開発のためのB型肝炎ウイルスによる直接肝障害の機序の解明
Project/Area Number |
22K15967
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内田 宅郎 大分大学, グローカル感染症研究センター, 講師 (00827967)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HBV / PC変異 / BCP変異 / ERストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肝細胞キメラマウスでの感染実験において、PC/BCP変異型HBV(HBV-mt/mt)感染マウスでは野生型HBV(HBV-wt)感染マウスに比べ、急峻なHBVDNAの増加を示し、ALT上昇を伴ったヒト肝細胞の消失が起こった。HBeAgの有無は肝細胞障害に影響を及ぼしておらず、複製を抑制することで肝細胞障害の遅延が起こることからウイルス複製が影響しているものと思われた。HBV-mt/mt感染マウスでは肝細胞内へのHBsAgの蓄積と小胞体への共局在を認め、肝内のUnfolded Protein Responseが増加し、アポトーシスが誘導されることが示された。HBV-mt/mt感染によるこの病態のメカニズムの解明とHBV-mt/mt感染の分子的特徴を明らかにするために、HBV-wtおよびHBV-mt/mt感染マウスおよび非感染マウスの肝臓サンプルを用いてRNASeqを行った。非感染マウスに比べて、野生型HBV感染マウスでは87遺伝子に発現変化を認め、変異型感染では100遺伝子の発現変化を認めた。エンリッチメント解析によって G2/Mチェックポイント、ER stress応答 、アポトーシスに関わるパスウェイが、HBV-mt/mt感染マウスでのみ抽出された。上述の結果を、国内外学会で発表するとともに、論文化し、Hepatology誌に掲載された。また、最終年度には、先に行った遺伝子発現解析において、上位に抽出された遺伝子群に関して、別の野生型およびPC/BCP変異型HBV感染マウスの肝臓サンプルを用いて、遺伝子発現を評価した。RNAseqの結果と同様に、野生型とPC/BCP変異型間に発現に差異が認められた。
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