2022 Fiscal Year Research-status Report
網羅的ゲノム・エピゲノムプロファイリングによる表在型食道癌新規リスク因子の検索
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22K15970
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
具嶋 亮介 熊本大学, 病院, 講師 (10894743)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表在型食道癌 / リスク因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道扁平上皮癌は飲酒・喫煙等のリスク因子のある症例が多いが、近年リスク因子のない女性の食道扁平上皮癌を診療する機会が増えている。アルコールの代謝過程で生成されるアセトアルデヒドが発癌物質として食道扁平上皮癌に関与することは知られている。一方で、欧米ではBarret食道腺癌が多くを占め、その発生経路としてmetaplasia-dysplasia adenocarcinoma sequenceという多段階経路が知られており、胃酸や胆汁酸の逆流による慢 性炎症を基盤として発症すると考えられている。 本研究ではリスク因子(飲酒・喫煙)別の食道扁平上皮癌の発がんのメカニズムを解析している。これまでに表在型食道扁平上皮癌に対して内視鏡切除した症例の背景因子、内視鏡所見、病理所見、再発・予後についてデータベースを構築した。リスク因子別での臨床病理学的所見や再発・予後については見出すことができている。リスク因子別での食道扁平上皮癌の切除標本を用いて、背景食道粘膜と癌部分の核酸を抽出し、次世代シークエンサーを用いて網羅的に遺伝子変異・エピゲノム解析を行うことで新規リスク因子を同定し、喫煙歴・飲酒歴のない食道癌と通常の危険因子のある食道扁平癌を比較し、内視鏡所見との関連と発癌のメカニズムを明らかにすることを目指す。 今年度は研究対象の比較対象である、飲酒・喫煙等のリスク因子のある10症例の食道がん部、背景粘膜よりDNA/RNAをそれぞれ抽出し、次世代シークエンサーによるRNA-seq解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年では食道扁平上皮癌の既知のリスク因子の調査や層別化をおこない、学会発表等も行ってきた。またホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本をレーザーマイクロダイセクション法を用いて、癌部と非癌部に分離してDNAを抽出する作業をおこなっている。今後症例が蓄積されたら解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、すでに解析を進めている食道がん部、背景粘膜部のRNA-seqデータのバイオインフォマティクス解析を進めつつ、同時に症例の蓄積を進めていく。 また、蓄積された検体より抽出されたDNA・RNAを用いて次世代シークエンサー解析を行い、癌に関連する体細胞変異・RNA発現を解析する。解析して得られた表在型食道癌の遺伝子発現変化ならびに遺伝子変異・エピゲノム異常から、食道扁平上皮癌のゲノム公開データベースを参考に、鍵となる遺伝子変異や特定の遺伝子プロモーター領域などのDNAメチル化異常を抽出・選定する予定である。
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Causes of Carryover |
食道扁平上皮癌の遺伝子解析は現在進行中であるが、さらなる症例の解析が必要であり、単年度で研究を終了することは困難である。次年度は蓄積された検体より抽出されたDNA・RNAを用いて次世代シークエンサー解析を行い、癌に関連する体細胞変異・RNA発現を解析する予定であり、次年度の使用額が生じた。
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