2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of regulatory mechanisms of food allergy after epicutaneous sensitization
Project/Area Number |
22K15978
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内田 志野 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (30838438)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 経皮感作 / 食物アレルギー / 抑制型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
食物アレルギーは、食物抗原に対する特異的IgEの産生(感作)に起因する即時型アレルギーである。近年、食物アレルギーにおける経皮感作の重要性が指摘されているが、その制御メカニズムには謎が多い。本研究の目的は、「ミエロイド系細胞に発現する抑制型受容体CD300fが経皮感作による食物アレルギーを抑制する」という仮説を立証することである。野生型マウスとCD300f欠損マウスに対して、オボアルブミンとアラム(アジュバント)を腹腔投与して感作したとき、両者の血清OVA特異的IgE値に有意な差はなかった。また、両者の空腸マスト細胞数の増加などは共に認められなかった。次に、経胃管投与をすると、両マウスは食物アレルギー症状(下痢)を引き起こし、血清特異的OVA値と空腸マスト細胞の増加が確認された。このとき、CD300f欠損は下痢頻度・血清特異的OVA値・空腸マスト細胞数を有意に増加させた。一方、マウスを剃毛後、tape-strippingした腹部にOVAを塗布(1週間間隔で計6回)すると、皮膚の炎症(表皮・真皮の肥厚、炎症細胞浸潤)とともに血清OVA特異的IgE値の上昇が認められた。しかし、空腸のマスト細胞数の増加は確認されなかった。また、CD300f欠損は皮膚の炎症や血清OVA特異的IgE値の上昇を増幅する傾向が認められた。次に、経胃管投与をすると、両マウスは食物アレルギー症状(下痢)を引き起こし、血清特異的OVA値と空腸マスト細胞の増加が確認された。このモデルでも、CD300f欠損は下痢頻度・血清特異的OVA値・空腸マスト細胞数を有意に増加させた。従って、CD300fは腹腔感作及び経皮感作後の食物アレルギーを抑制することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
経皮感作モデルにより、抑制型受容体CD300fが経皮感作後の食物アレルギーを抑えることが示されたので、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、細胞特異的CD300f欠損マウスも利用して経皮感作モデルを解析して、CD300fが経皮感作による食物アレルギーをどのように制御するかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
マウス飼育室の改築に伴い、数カ月以上にわたりマウス飼育室での実験を行うことができなかった。そのため、本年度の研究に使用予定の出費(消耗品を含む)が少なくなった。次年度では、前年度分も合わせて、研究費を使用して必要な解析を行い、本研究目的を達成する予定である。
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