2022 Fiscal Year Research-status Report
エクソーム解析・遺伝子発現解析による大腸鋸歯状病変発癌機構の包括的解明
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22K15987
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 大輔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40843157)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大腸鋸歯状腺腫(SSL) / 全エクソームシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究室として先行研究として十二指腸上皮性腫瘍に対してFFPE検体よりDNAを正確に抽出する方法を確立した。様々な検体でトライアルを行った過程で、DNA抽出を行う際には、ESD検体の方がEMR検体より状態のよいDNAが抽出できることが判明した。また使用しているホルマリンの濃度の関係より2019年以降の検体の方が、より質がよいDNAが抽出できる可能性があることが判明した。続いてDNA抽出で得られた検体に対して全エクソームシークエンスを行った。研究室として解析用のハードウェア及びソフトウェアも購入したため、全エクソームシークエンス結果に対するバイオインフォマティック解析を行うことが可能となった。解析方法に関しても研究室として共有した。 次にSSLに対して全エクソームシークエンスを行うにあたり、まずは症例選択を行うために当院でのデータベースを作成した。2015年~2022年に対するデータベースを作成し、SSLを1258症例、SSL with dysplasiaを 59症例、SSL-cancerを 19症例認めた。そのうち比較的新しい2019-2022年検体でESDを施行した検体に絞るとSSLを106症例SSL with dysplasia を13症例、SSL-cancerを 3症例認めた。今後この2019年~2022年のESD検体の中から症例を選択してDNA抽出⇒全エクソームシークエンスを行って解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全世界的なCOVID-19の流行により研究実施計画の当初の予定よりはやや遅れている。しかしDNA抽出方法、全エクソームシークエンスで得られた結果の解析方法を確立したこと、SSLのデータベースを整理構築したことにより今後の進捗速度は上がっていくと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
SSLの癌化のメカニズムを確認するため、SSL、SSL with dysplasia、SSL cancerそれぞれに対して全エクソームシークエンスを行う必要があると考える。それぞれの症例を選定し、内視鏡的に切除したFFPE検体よりDNAを抽出する。それを用いて施行した全エクソームシークエンスを行い、ドライバー遺伝子を含めた変異・欠失解析を行う。それぞれの段階での差を比較することで、癌化との関連が強い遺伝子の同定が出来ればと考える。
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Causes of Carryover |
世界的COVID-19流行のため研究実施がやや遅れているが、先行研究により、DNAの抽出方法や、全エクソームシークエンスで得られた結果に対する解析方法を確立した。 またSSL症例のデータベースの整理構築も行ったため、次年度は症例選定の後に内視鏡的に切除したFFPE検体よりDNAを抽出し、全エクソームシークエンスを施行する。
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