2023 Fiscal Year Research-status Report
エクソーム解析・遺伝子発現解析による大腸鋸歯状病変発癌機構の包括的解明
Project/Area Number |
22K15987
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大木 大輔 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40843157)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 大腸鋸歯状腺腫(SSL) / 全エクソームシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究室として先行研究として十二指腸上皮性腫瘍に対してFFPE検体よりDNAを正確に抽出する方法を確立した。様々な検体でトライアルを行った過程で、DNA抽出を行う際には、ESD検体の方がEMR検体より状態のよいDNAが抽出できることが判明した。また使用しているホルマリンの濃度の関係より2019年以降の検体の方が、より質がよいDNAが抽出できる可能性があることが判明した。続いてDNA抽出で得られた検体に対して全エクソームシークエンスを行い、設備を整えたことでバイオインフォマティック解析を行うことが可能となった。解析方 法に関しても研究室として共有した。 SSLに対して全エクソームシークエンスを行うにあたり、まずは症例選択を行うために当院でのデータベースを作成した。2015年~2022年に対するデータベースを作成し、SSLを1751 検体、SSL with dysplasiaを 55検体、SSL-cancerを 19検体認めた。得られたデータベースを解析した結果、SSLもadenomaで報告があるのと同様に、腫瘍径が大きくなるにつれ、dysplasia(cancer含む)の併存頻度が上昇するという結果が得られた。上記をEndoscopy International Open誌に報告してpublishされた(DOI: 10.1055/a-2246-0820)。 続いて、得られたデータベースを使用して、SSLに対して2019-2022年検体でESDを施行した検体に絞り、そこからDNA抽出を行う検体を51検体選択した。選択した検体よりDNAを抽出した後に、Quality checkを経て状態が良好なものを最終的に26検体選択した。こちらの26検体に対して全エクソームシークエンスを施行した。得られた結果をLinuxを用いてDry解析を現在行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全世界的なCOVID-19の流行により研究実施計画の当初の予定よりはやや遅れていたが、全エクソームシークエンスで得られた結果の解析方法を確立したこと、SSLのデータベースを整理構築したことにより進捗速度が上がってきた。現在は全検体の全エクソームシークエンスは終了しており、得られた結果をDry解析する段階にまで進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
SSL、SSL with dysplasia、SSL cancerそれぞれに対して全エクソームシークエンスを行った。Dryでドライバー遺伝子を含めた変異・欠失解析を行っている。それぞれの段階での差を比較することにより、癌化との関連が強い遺伝子の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
前年度は検体採取に従事しており、NGS費用は一部しかかかっていなかったため、使用額が少なかった。今年度はNGSやその他解析などでも費用を使用する予定となっている。
|