2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K15988
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐久間 信行 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (40909545)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロテアーゼ / 癌関連線維芽細胞 / 消化管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管癌は治療法が開発されつつあるが依然として死因順位が高い。悪性腫瘍の特徴である浸潤・転移は予後に影響し、阻止することで予後改善が望める可能性がある。そのため、浸潤・転移を含む癌悪性度の上昇の機序の解明が求められる。近年、癌周囲の間質組織とがんの悪性度の上昇との関連が注目され、間質には線維芽細胞が存在し、癌との相互作用が疑われている。 本研究では、胃癌や大腸癌で発現上昇すると予後不良になることが示唆されているKallikrein-related peptidase (KLK)に注目した。消化管癌においてKLKの発現異常による影響は詳細に解明されておらず、KLKが発現上昇することによる悪性度上昇との関連やKLKによる癌周囲の線維芽細胞への影響を調べることにした。 KLKが発現していない胃癌や大腸癌由来細胞株を選び、KLKを安定発現させた細胞株を作成した。細胞株でマトリゲルインベージョンチャンバーを用いて、細胞浸潤能の変化を解析したところ、KLKが発現上昇することで浸潤能の促進が示唆された。また、軟寒天培地中で培養し、Anoikis抵抗性の評価のため足場非依存性増殖能解析を行ったところ、KLKが発現上昇することで足場非依存性増殖能の促進が示唆され、KLKの発現上昇は浸潤・転移などがんの悪性度の上昇させることが考えられた。 KLKによる癌周囲の線維芽細胞への影響を調べるため、トランスウェルインサートを用いてKLKを安定発現させたがん細胞と胎児肺由来の正常線維芽細胞で共培養実験を行い、共培養後の線維芽細胞からRNAを抽出し、qPCRで遺伝子の発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な実験で予備実験を行ったが順調に進まず、研究が思い通りに進まなかったため、やや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づき、KLKが及ぼす癌悪性度の上昇などの影響について細胞レベルでpathway解析などゲノムワイドな関連解析を進めるとともに、さらに癌周囲の間質・線維芽細胞との相互作用の解析を進める。
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Causes of Carryover |
思い通りに研究が進まなかったため、解析を十分に行えず、次年度使用額が生じた。細胞株購入やアッセイに必要な消耗品購入や解析費用などに使用することを検討している。
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