2022 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎における局所環境動態に基づく間葉系幹細胞治療の機序解明
Project/Area Number |
22K15991
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
関 晃裕 金沢大学, 附属病院, 助教 (00733859)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 再生療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH) は重篤な肝硬変に至る慢性肝疾患であるが、根本治療が確立されておらず、新規治療が切望される。NASHの進展において実質細胞と炎症細胞を含む様々な非実質細胞群の相互連関が肝細胞障害に寄与することが示唆されている。申請者はこれまでにNASHに対し、脂肪組織由来の間葉系幹細胞(MSC)を投与する治療法の有用性を明らかとしてきたが、投与したMSCが障害肝を再生する機序において、NASHの進展に関わる肝実質細胞、非実質細胞の相互連関への影響について不明な点が残り、解明を要する。本年はNASHおよびSSマウスより肝実質細胞を採取、RNAを抽出し、microarray法を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行った。NASHマウス由来の肝実質細胞の特徴の一つとしてERストレスに関わる遺伝子の発現亢進を認めた。またマウス由来肝細胞株に対し長鎖脂肪酸およびマウス由来肝星細胞株の上清を添加し培養を行った。長鎖脂肪酸および肝星細胞株の上清は協調的に肝細胞株におけるERストレスを増強させ、肝細胞死を誘導することを見出した。更にMSCと肝星細胞株の共培養は肝星細胞株の培養上清による肝細胞株におけるERストレス亢進作用を減弱することを見出した。本成果はMSC投与による肝再生修復機序をNASHの局所環境病態から解明および、MSCを用いたNASHに対する再生医療の確立と発展につながりえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
invivoおよびvitroの実験において比較的予定通りの進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は肝内実質細胞と非実質細胞の相互作用およびMSCによる各細胞群への影響のex vivoにおける解析を行う予定である。NASHマウスまたは野生型マウスに由来する肝実質細胞および非実質細胞の相互作用と、これらの細胞に対しMSCが与える影響を明らかとする。
|
Causes of Carryover |
マウス実験において他の研究のため購入していたマウスを流用できたため当初の予算より低額で研究を遂行することができた。次年度は計画している研究を遂行するためのマウスおよび抗体などの物品の購入を予定しているが、計画時と比較し、物品の購入に要する費用が上昇しているため、全体としては当初の予算を要するもの思われる。
|