2022 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍細胞由来エクソソームに内包するmicroRNAを対象とした体液生検法の開発
Project/Area Number |
22K15993
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川上 智 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任講師 (80596883)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エクソソーム / microRNA / miR-10-5p / 膵液 / IPMN / 体液生検法 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍細胞由来エクソソームに内包するmicroRNAを対象とした体液生検法の開発をテーマとする本研究において、まずは腫瘍由来の核酸濃度が高いと推定されるIPMN症例の膵液を対象として研究を行った。我々は以前、次世代シークエンサーを用いた切除組織の網羅的microRNAの解析により、悪性IPMNの候補マーカーとして膵液中のmiR-10a-5p がIPMN由来浸潤癌(INV)の鑑別に有用であることを報告した。今回、膵液中のmiR-10a-5pを測定することよりIPMNの悪性度を評価した。Low-grade dysplasia (LGD) 10例、High-grade dysplasia (HGD) 10例、INV 5例、IPMN併存膵癌 (PDAC) 5例、画像follow-up例 (Follow) 34例を対象とし、HGD, INV, PDACを悪性群、LGD, Followを良性群と定義した。膵液検体からエクソソームを抽出し、microRNAを分離した後リアルタイムPCRでmiR-10a-5pの発現を測定した。悪性IPMNに関わる因子の解析を行った結果、多変量解析ではHRS個数(OR 4.0, 95%CI 1.3-12.4, p=0.016)、miR-10a-5p高値(miR-high)(OR 4.4, 95%CI 1.0-18.6, p=0.043)、膵液細胞診陽性(OR 24.1, 95%CI 1.9-308.0, p=0.014)の3つが独立した因子として抽出された。HRS個数(0-3点)、miR-high(1点)、膵液細胞診陽性(1点)によるスコアを作成した場合、HRS個数と比較して有意に診断能の向上を認めた(AUROC 0.789 vs 0.669, p=0.019)。膵液エクソソーム内包miR-10a-5pは、悪性IPMNの鑑別に有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍由来エクソソームに内包されたmiRNAのうち、miR-10a-5pについて悪性IPMNとの関係を示すことができた点で、研究経過としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNAの解析は複雑であり、解析法としても高度な手法を要求される。これまでは単一マーカーを対象に解析を行ったが、今後は膵液のみならず血液検体も用い、網羅的なmiRNA解析を行う予定であるが、膨大なデータを処理する都合上、機械学習など人工知能の技術を利用しながら研究を遂行していく予定。
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Causes of Carryover |
一部の試薬の納品が新型コロナ感染症の影響などで間に合わず、年度内に請求が間に合いませんでした。その分は次年度使用額として計上させていただく予定です。
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[Presentation] IPMN悪性化予測における膵液中エクソソーム由来のmiR-10a-5pの有用性2022
Author(s)
吉村 大, 高野 伸一, 深澤 光晴, 長谷川 浩之, 川上 智, 深澤 佳満, 早川 宏, 原井 正太, 島村 成樹, 今川 直人, 榎本 信幸
Organizer
第29回日本消化器関連学会週間(JDDW)