2023 Fiscal Year Research-status Report
大腸SMがん浸潤先進部の微小環境における分子病態の解明と臨床応用
Project/Area Number |
22K16001
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
須藤 豪太 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (60830130)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸がん / SAA1 / がん微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 腫瘍関連好中球 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がん細胞におけるSAA1の機能を解析するため、大腸がん細胞株を用いてSAA1のノックダウン実験を行った。SAA1ノックダウンは大腸がん細胞の増殖に影響を与えなかったが、大腸がん細胞の遊走能および浸潤能を低下させた。逆にSAA1の過剰発現は大腸がん細胞の遊走能・浸潤能を促進することが、Boydenチャンバーアッセイおよびコラーゲンゲル浸潤アッセイから確認された。 早期大腸がん臨床例を対象にSAA1発現パターンを免疫組織染色で解析した。その結果、SAA1は低分化成分を含む浸潤先進部において有意に高発現していた。またSAA1発現陽性の浸潤先進部では、マクロファージマーカーであるCD80陽性細胞およびCD163陽性細胞の集積が認められた。さらに、SAA1陽性の浸潤先進部ではMMP9陽性細胞の集積や、好中球の集積も認められた。 大腸がんとマクロファージの共培養系による解析を行った。急性単球性白血病細胞株であるTHP-1を分化誘導することでマクロファージ様細胞を得た。これを各種の大腸がん細胞株と間接共培養した結果、マクロファージのIL1B発現が誘導されるとともに、大腸がん細胞のSAA1発現が誘導された。大腸がん細胞のSAA1発現誘導は、抗IL-1β抗体により阻害されたことから、マクロファージ由来のIL-1βが大腸がん細胞のSAA1発現を誘導することが示された。 次に大腸がんと好中球の共培養系による解析を行った。前骨髄性白血病細胞株HL-60を分化誘導することで好中球様細胞を得た。大腸がん細胞株との間接共培養実験から好中球が大腸がん細胞の遊走・浸潤を促進することが明らかとなった。さらに大腸がん細胞、好中球、マクロファージの共培養実験から、マクロファージ由来のIL-1βががん細胞のSAA1発現を誘導し、SAA1が好中球浸潤およびMMP9発現を誘導することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸がん細胞におけるSAA1の機能解析を行い、SAA1が遊走・浸潤を促進することを明らかにした。臨床検体におけるSAA1の発現解析を行い、SAA1が早期大腸がんの浸潤先進部において、低分化成分、マクロファージ集簇、好中球集簇、MMP9発現と相関することを明らかにすることができた。マクロファージと大腸がん細胞の相互作用がSAA1発現を誘導し、大腸がん浸潤を促進することを示す結果を得ることができた。さらに大腸がん細胞由来のSAA1が腫瘍関連好中球の集簇を促進することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸がん細胞・マクロファージ・好中球の共培養実験系を用いて、マクロファージがSAA1発現を誘導するメカニズムや、SAA1が好中球浸潤を促進するメカニズムをさらに明らかにする。またマイクロアレイデータから、大腸がん細胞におけるSAA1の分子機能をさらに明らかにする。また、臨床検体の収集・解析を継続し、浸潤先進部におけるSAA1および関連遺伝子発現を詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた学会出張がリモートによる参加となったため、旅費を使用しなかった。実験の大半を自分で行う事ができたため、人件費の支出が予定より少なかった。次年度は、実験の消耗品、学会出張、実験補助員の謝金として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)