2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K16004
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
趙 有季 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (80779398)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フォンタン手術 / 肝線維化 / バイオマーカー / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、先天性複雑心奇形に対するフォンタン手術後の遠隔期にみられる肝うっ血を背景とした肝線維化のバイオマーカーの探索ならびにカットオフ値の設定を目的としている。申請者は申請者自身の先行研究(Cho Y. Hepatology Research. 2021;51:593-602)において、フォンタン術後には術後10年ほどの経過で全例に類洞や中心静脈域を中心とした肝線維化がみられること報告し、既存のバイオマーカー(ヒアルロン酸、IV型コラーゲン7s、M2BGPi、FIB-4 indexなど)や画像検査(フィブロスキャンによる肝硬度)では肝線維化を適切に指摘できないことを明らかにしている。本研究では先行研究で得られた組織学的線維化stage(Congestive hepatic fibrosis score)の明らかなフォンタン術後患者血清22例分に加え、健常若年者の血清26例、組織学的線維化stage(Metavir score)の明らかなC型慢性肝炎患者血清33例の収集を行った。健常群は既存の肝疾患や心疾患のない20歳から25歳の若年健常者を対象とした。それらの血清検体を用い、血清中の脂質メディエーター(12ヒドロキシエイコサテトラエン酸など196成分)、有機酸(乳酸など6成分)、短鎖脂肪酸(酪酸など16成分)の分析を、共同研究施設である大阪公立大学医学部のトリプル四重極型質量分析計(LCMS-8060、島津製作所)と各メソッドパッケージを用いて行った。現在、質量分析は終了しており、得られた質量分析データを統計学的に解析中である。また、本研究内容を発展させるため、フォンタン術後の肝線維化を推測する上で腸内細菌叢の異常がバイオマーカーとなりうるかについても検討課題として、その解析準備を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする3群の質量分析を既に終えており、データの解析を行なっている段階である。目標としている検体数に一部足りないため、その点は継続的に収集を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
既に得られている質量分析データの解析を進め、フォンタン術後肝線維化に特化したバイオマーカーの同定を行い、カットオフ値の設定を行う。また、本研究内容を発展させるため、フォンタン術後の肝線維化を推測する上で腸内細菌叢の異常がバイオマーカーとなりうるかについても検討課題として、その解析準備を行なっており、患者の便検体の解析も検討している。
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Causes of Carryover |
予定していた国内学会への参加がコロナ禍のためできなかったことが影響している。今後、解析結果を広く学会で発表するとともに論文化を予定しており、また、バイオマーカーとして腸内細菌叢の異常にも着目した解析を検討しており、次年度は次年度使用額(B-A)と翌年度分として請求した助成金を合わせて用いる予定である。
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