2022 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患の腸管外合併症における腸内細菌叢と疾患予後の検討
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22K16005
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清原 裕貴 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20626379)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 腸管外合併症 / 末梢性脊椎関節炎 / 体軸性脊椎関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、炎症性腸疾患(IBD)患者のうち消化管以外の臓器における合併症、いわゆる「腸管外合併症」を有する患者における腸内細菌叢の特徴と、臨床経過における特徴を明らかにすることを目的としている。基礎研究領域として、腸管外合併症を有する炎症性腸疾患患者の糞便を用いた腸内細菌叢の解析を、臨床研究領域として慶應義塾大学病院消化器内科に通院する、腸管外合併症を有する炎症性腸疾患患者における臨床的な特徴を明らかにすることを目指している。当年度においては、腸管外合併症の中でも頻度の高い関節症状について注目し、関節症状の診断根拠としては当院リウマチ膠原病内科に受診歴のある患者を抽出し、リウマチ内科医により炎症性腸疾患関連関節症状と診断された患者を対象として調査を実施した。関節症状は末梢性脊椎関節症、体軸性脊椎関節症に分類するとともに、脊椎MRIや関節エコー検査の所見や、血清CRPをはじめとする炎症性マーカーについても情報を収集している。また、潰瘍性大腸炎の大腸全摘術後にも関節症状を発症する例もあることから、手術既往についても注目をして検証を行っている。これらの情報は、腸内細菌叢に対応する腸管外合併症の特徴の分析において欠かせない情報であり、本研究の臨床研究領域の中核を成す。現時点ですべての対象患者の情報収集が終了していないため、情報の統合ならびに解析については今後実施していく予定である。また、基礎研究領域である腸内細菌叢の解析については、前年度までの予備検討において皮膚症状を有する患者における糞便検体の解析を実施してきたが、当年度には臨床研究領域の検討を中心に行うこととしたために新たな患者における菌叢解析は当年度は未実施となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は臨床研究領域における診療録の後方視的解析による対象患者の同定と、新たに腸管外合併症と診断された患者のデータベース化、基礎研究領域における患者の腸内細菌叢解析のパートに分かれているが、本研究に割くことができるエフォートが当初の見積もりを下回ったことや、基礎研究パートである腸内細菌叢の解析への着手に当該年度内に至っていないことから、進捗状況としてやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に関節症状を有する患者の臨床的特徴の解析まで実施するとともに、対象となる患者における糞便からの腸内細菌叢解析についても着手をする。また、皮膚症状についても同様に、当院における皮膚科受診歴のある患者を対象として炎症性腸疾患に関連する皮膚症状を有する患者の同定を進め、次世代シークエンサーによる腸内細菌叢の解析を進める予定としている。
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Causes of Carryover |
今年度の研究実施内容として、消耗品等の支出を伴わない診療録情報の調査を中心に行ったために、腸内細菌叢解析を想定した当初の支出予定金額を下回った。最終的な研究における解析対象とする予定には変更はないため、2023年度、2024年度にわけて、主として菌叢解析などの用途において当該年度の未使用額を使用する予定である。
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