2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K16029
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
赤澤 陽一 順天堂大学, 医学部, 助教 (80822006)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 早期胃癌 / 血流速度 / 拡大内視鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
胃粘膜血流解析には、富士フイルムのBLI(Blue Laser Imaging)併用拡大内視鏡(M-BLI)にて記録された動画データを用いる。申請者らは、2016年よりM-BLIを用いた拡大内視鏡観察を開始し、既に胃粘膜微小血管を記録した胃腫瘍500例、非癌病変500例の症例動画データの集積を終えている。20例(癌10例、非癌10例)を対象としたpilot研究では、非癌病変(良性斑状発赤)に比較して胃癌の血流速度は有意に遅いことを明らかにし、胃粘膜微小血管血流診断の有用性について報告した(Ueyama H, Akazawa Y, et al. J Gastroenterol Hepatol.2021)。Pilot研究における血流速度解析は、申請者らが独自に構築した方法(①血流速度計算の距離対照として、1mmスケールを145倍の倍率で拡大撮影を行う。②動画を30fpsに分割し赤血球の移動距離を測定。③1フレームでの位置変化をもとに血流速度を計測)で行われたが、より正確かつ客観的なデータ解析のため、富士フイルムとの共同研究にて血流速度を自動計算するソフトウェアのプロトタイプを開発した。 その後、本ソフトウェアについてその診断制度の検証を行うべく、M-BLIを施行し、胃表層微小血管および血管内を走行する赤血球が視認可能であった早期胃癌31病変(癌群)および斑状発赤40病変(非癌群)を対象として検証試験を行った。その結果、癌群での血流速度のの平均は、0.95(0.69-1.34)mm/sec、非癌群では12.1(0.80-1.95)mm/secであり、有意差をもって癌群で低い結果であった(P<0.01)。微小血管血流速度自動解析システムのソフトウェアを用いた客観的な評価により、早期胃癌は斑状発赤に比較して有意に血流速度が遅いことが明らかになり、既報の研究結果に矛盾が無いことが確認・検証することができた。本追加研究結果は、第103回 日本消化器内視鏡学会総会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血流速度を自動解析するソフトウェアについて、内視鏡医との診断精度に関する比較検討は未だ行われておらず、申請者らは早期胃癌31病変(癌群)及び早期胃癌と鑑別が必要であった斑状発赤40病変(非癌群)を対象とし、ソフトウェア群と内視鏡医群における診断能の比較検討を行った。ソフトウェア群では、事前に検証した癌/非癌のcut off値(1.09 mm/sec)に準じて診断を行った。内視鏡医は消化器内視鏡学会専門医5名と非専門医4名が動画を閲覧し診断を行った。その結果、診断能については、ソフトウェア群で、感度/特異度/陽性的中率/陰性的中率=90.3/89.7/87.2/92.3%、内視鏡医群では、専門医:感度/特異度/陽性的中率/陰性的中率=85.9/87.2/80.0/85.5%、非専門医:70.0/82.7/80.6/71.0%、であり、ソフトウェア群で診断能が良好であることが確認でき、血流速度解析ソフトウェアは、内視鏡医と比較して良好な早期胃癌診断能を示し、早期胃癌に対する新たな診断デバイスとして有用である可能性が考えられた。本研究結果はJapan Digestive Disease Week 2022 (JDDW 2022 FUKUOKA)にて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
癌と斑状発赤についての血流速度解析の有用性についてはある程度検証できたが、そのほかの病変や背景胃粘膜については未だ血流速度解析は未着手である。今後は、癌の中でも内視鏡的診断が困難な病変や良性病変、また背景胃粘膜と患者背景疾患との関連性などを焦点に血流速度解析の追加研究を行っていく方針である。
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Causes of Carryover |
当該年度に使用予定の経費に相当するほどは各物品・旅費などの支出が無かったため残額が発生した。次年度では、現段階の血流解析ソフトウェアの解析制度を向上させた次世代血流解析システムの開発を予定しており、その開発費用として、残額を使用する予定である。
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