2022 Fiscal Year Research-status Report
胆汁性硬化性胆管炎における制御性T細胞を介した病態制御機構の解明と治療方法の確立
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22K16036
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
木村 成宏 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80838649)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胆管障害 / 胆管再生 / 原発性硬化性胆管炎 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではMSC投与によりPSCモデルマウスにおいて、PSCの病勢に効果的なTreg細胞の上昇を捉え、その免疫、生化学的な特徴を明らかにし、人PSC患者においても同様な治療効果があるか検討したい。 本年の研究はまず、胆管障害における間葉系幹細胞(MSC)の影響を解析するために、胆管障害マウスモデルを作成した。胆管障害モデルには0.1%DDC添加食(DDC diet)を給餌し、7日間の投与を行った。DDC Dietにより十分な胆管障害が起きていることを体重減少、採血での肝逸脱酵素上昇および免疫染色でのCK19陽性細胞数の増加で確認した。DDC diet開始時にIL-2を投与することで制御性T細胞を増加させたが、体重減少、肝逸脱酵素、CK19陽性細胞の改善は認めなかった。MSC投与群においても、体重の減少比率や採血結果は有意差を認めなかったため、胆管障害時のIL-2、MSC投与効果は低いと考えた。つづいてMSCの胆管再生への影響を検討するために、5日間のDDC diet投与後3日間のNormal diet期間を設ける胆管再生モデルを作成した。Normal dietへの食事変更時にMSC投与、非投与群を分けることで胆管再生へのMSCの影響を解析した。Normal dietへ変更後2日後にMSC投与群では有意差を持って体重の増加が認められ、MSCの治療効果が示唆された。3日目に肝臓を摘出し、肝臓内のリンパ球をFlow cytometolyで解析すると、コントロール群に比べて制御性T細胞のうち、Jagged1やHeliosといった因子の上昇を認め、またCD206陽性のM2マクロファージの増加を認めた。MSC投与により肝臓内の免疫細胞が変化し、胆管再生を促進されたと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究環境に恵まれており、十分な実験施設とエフォートを確保でき、必要な物品も過不足なく科研費で購入できている。そのため当初の計画通りに胆管障害および胆管再生におけるTreg細胞の影響をMSC投与の観点から明らかにしつつあるように思える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は胆管再生モデルにおいて、MSC投与群およびコントロール群の肝臓内から免疫細胞をSortingし、RNA seqなどで網羅的に遺伝子解析を行うことで、免疫系への影響を解析する。その結果を持って、抗体などを使用し制御性T細胞やマクロファージの機能を低下させることを検討している。
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Causes of Carryover |
今年度の研究計画は順調に進行しているものの、コロナ禍ということもあり、学会参加などによる旅費は最小限にとどまった。また、実験に際して必要な抗体などの物品類は新規に購入する必要がないものもあり、当初予定していた予算額よりも少なく計上できた。来年度以降はRNA-Seqなどの高額実験も予定しており、予定通りの予算運用が可能と考える。
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