2023 Fiscal Year Research-status Report
悪性IPMNの診断能向上と病態解明を目指した網羅的miRNA解析
Project/Area Number |
22K16038
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
深澤 佳満 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10596886)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IPMN / micro RNA / 機械学習 / エクソソーム / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
IPMN国際診療ガイドラインに基づく診断能を上乗せする新たなバイオマーカーの同定を目的として膵液中エクソソームに内包されるmiRNAの網羅的解析を行った。しかしながら、miRNAの発現パターンは複雑であり単一のマーカー では病態の説明が困難であり,人工知能などの高度な解析法が重要となる.今回、複雑さを伴う膵液由来エクソソーム内包miRNAの 発現パターンを人丁知能を用いて解析した。IPMN57例から採取した膵液よりエクソソームを回収しmicroRNAを抽出した。次世代シークエンサー(NGS)によるmiRNA網羅的発現解析を行い、十分なリード数が得られた48例を解析対象とした。検討1:IPMN良性群と悪性群で発現差のあるmiRNAの同定.検討2:臨床因子のみ,miRNAのみによる良悪性診断,両者を含めた良悪性診断をサポートベクターマシーンアルゴリズムによる人工知能解析を用いて行った。なお、悪性IPMNの定義として、high-grade dysplasia、invasive IPMN、IPMN併存膵癌を含めて解析を行った。結果として膵液エクソソーム内包miRNAのNGS解析により、解析対象となる2792miRNAのうち426miRNAが検出された。結果1:発現差2倍以上、false discovery rate<0.2に設定して良悪性で有意に差のある5つのmiRNAが同定された。結果2:サポートベクターマシーンによる人工知能解析により、臨床因子のみ、miRNAのみ、その両方でそれぞれ学習相で87%, 75%, 90%、検証相で65%, 74%, 73%であった.膵液由来エクソソーム内包rniRNAおよび臨床因子を組み合わせたIPMN良悪性診断を試みたが,精度に問題があるものの人工知能を用いることで簡便な診断が可能であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵液の網羅的miRNA解析を行い、良悪性で発現差2倍以上、false discovery rate<0.2に設定したところ、良悪性で有意に差のある5つのmiRNAが同定された。さらの臨床因子および5つのmiRNAを用いサポートベクターマシーンによる人工知能解析を行ったところ、学習相90%、検証相で73%の良悪性正診率を得ることができた。計画通りに解析が進み、機械学習による診断モデルの作成を行なうところまで完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
IPMN57例から採取した膵液よりエクソソームを回収しmicroRNAを抽出し、次世代シークエンサー(NGS)によるmiRNA網羅的発現解析を行った結果、IPMN良悪性を鑑別する5つのマーカーを同定することができた。IPMN国際診療ガイドラインに基づく診断能を上乗せすることが目的であり、得られた候補マーカーを用い、多数の膵液あるいは血液などでの検証を行なっていく。
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Causes of Carryover |
予定の業務が順調に遂行され次年度使用額が生じた。また、次年度には予定の消耗品以外にも論文投稿費用や学会出張費なども生じるため、その分を見越した対応をさせていただいた。
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