2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K16040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武藤 久哲 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (80909127)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Siglec-9 / defensin |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、in vivoでの検討を中心に行った。 in vivoの検討として、9週齢のC57BL/6Jマウス雄にWestern Dietと高濃度糖水の経口投与および週1回CCl4の腹腔内投与を12週行い、NASHマウスモデルを作成した。同時にsSiglec-9 10ng/gまたはコントロールとしてPBSを週1回腹腔内投与した。4kD-FITCdextranを経口投与し、その2時間後に血中濃度を測定することで、腸管透過性の評価を行った。その後解剖し、腸管組織のRNA sequenceを用いたトランスクリプトーム解析を行うとともに、肝臓の組織学的な評価を行った。 sSiglec-9投与によって、NASHマウスモデルの腸管透過性亢進を有意に抑制した。sSiglec-9群とPBS群の腸管のトランスクリプトーム解析において、CD177、Olfm4や多くのディフェンシンを含む発現変動遺伝子を34個同定した。これらの遺伝子のGO解析により、「Membrane disruption in another organism」「Innate immune response in mucosa」など腸管粘膜免疫に関連した遺伝子群に有意な濃縮を認めた。この結果は、SHED-CM投与による結果と類似していた。肝組織においては、門脈域の炎症がsSiglec-9において改善傾向を認めた。 これらの結果から、sSiglec-9は、NASHマウスモデルにおいて腸管粘膜免疫に作用し、その恒常性を保つことで腸管バリア機能を保護し、肝組織の改善に寄与する可能性がある。sSiglec-9は、SHED-CMと同様にNASHに対する有望な治療ストラテジーとなり得ると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoでのマウス実験が概ね順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
sSiglec-9投与による肝臓組織に対する効果について、in vivoでさらに検討を行う予定である。また、腸内細菌の変化についても解析予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、ほぼ予定通りの予算を使用したが、前年度からの繰越分もあり、差が生じた。来年はさらにメカニズムの検討を行う予定であり、予定予算の執行を行う予定である。
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