2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞外小胞が肝臓構成細胞へ与える影響からみるNASH治療標的の探索
Project/Area Number |
22K16048
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
福島 真典 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (80835596)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 細胞外小胞 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は急速に増加している疾患であり、NASH病態の詳細な解明、新規治療法の確立は社会的な急務である。我々は、脂肪毒性により肝細胞から分泌された細胞外小胞(Extracellular vesicles:EVs)がNASH発症に寄与するという新たな知見を報告し、近年EVsがNASH進展のメカニズムを考えるうえで新たなkeyとして認知されるようになった。NASHの病態は複雑で、いまだ多くの点が不明である。我々は脂肪毒性を受けた肝細胞から分泌されるEVsは、マクロファージに作用することで炎症を惹起し、NASHを進展させることを報告している。しかし、NASH進展におけるこのEVsの、マクロファージ以外の細胞に対する役割は分かっていない。本研究は、脂肪毒性により分泌された肝細胞由来EVsが、肝臓を構成する肝細胞、クッパー細胞、星細胞、類洞内皮細胞の増殖能、炎症、線維化へ与える影響を総合的に解析し、EVsとNASH病態との詳細を検証することを目的としている。EVsが肝臓内の細胞に対しても一律にNASH進展促進へ作用するのであれば、脂肪毒性によるEVs分泌自体の阻害が新たな治療標的になり得る。一方で、EVsが作用する細胞により、NASH進展促進、あるいは保護的に働くのであれば、進展促進へ寄与する細胞へのEVsの働きを選択的に阻害することにより、効果的なNASH治療法の開発につなげることができると考えられる。このように、本研究はEVsを介したNASH病態のさらなる解明とともに、EVsを標的とした実践的な創薬への貢献が可能である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂肪毒性としてパルミチン酸(PA)による処理を行った際の、肝細胞由来EVsが、肝臓を構成する細胞である肝細胞、及び非実質細胞であるクッパー細胞、肝星細胞、類洞内皮細胞へ与える影響を明らかにするため、個々の細胞における細胞増殖能、炎症、線維化に関する遺伝子・蛋白発現に関して検討予定であった。しかし当施設のEVsを測定する機器を新規購入手続き中であり、実験途中でEVsを解析する機器が異なる状況を避けるためEVsの細胞実験は、EVs測定機器新規購入後にする方針とした。その間、今後のマウス実験において予定しているNASHモデルマウスが実際どの程度の脂肪化や線維化を来すか事前実験を行うこととし、高脂肪食を用いたNASHモデルマウスを現在飼育中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
EVs測定機器新規購入後から細胞実験を開始する予定としている。 EVs測定機器は2023年夏までには使用可能な状況になる見込みであるため、使用可能になってすぐに細胞実験を開始する。
|
Causes of Carryover |
今年度は細胞実験がスタートできなかったため、予定していた細胞実験に関わる物品の購入等を見送ったため、次年度使用額が生じている。 来年度に繰り越し、物品費等に使用予定である。
|
Research Products
(2 results)