2022 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎の病態形成におけるエラストカインの関与
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22K16055
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐藤 寿史 順天堂大学, 医学部, 助教 (60900983)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エラストカイン / 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肥満やメタボリック症候群を背景に発症し, 脂肪化に加えて炎症, 線維化を伴い, 予後は線維化の進行および肝発癌に規定される. 我々は肝線維化の回復プロセスにおいて, 細胞外マトリックス(ECM)分子であるエラスチンおよびその特異的分解酵素であるMMP12の発現動態の重要性を見出した(Sato T. et al. Matrix biology plus 2023 Vol. 17). しかし, NASHの病態における関与はまだ不明である. 本研究ではエラスチンおよび『エラストカイン』のエラスチン由来ペプチド(EDP)に着目し, NASH病態進展および肝発癌におけるEDPおよびエラスチン受容体複合体(ERC)とその下流シグナルの役割を解明することを目的としている. NASH初期病態モデルとして肥満・インスリン抵抗性を発症するKK-Ayマウスを用い, NASH肝発癌モデルとしてSTAMマウス(ストレプトゾトシン+高脂肪食モデル)の作成を行った.またエラストカイン発現モデル(陽性対照)として四塩化炭素誘導肝線維化モデルを作成した. 現在それぞれのマウスにおける肝脂肪化, 炎症細胞浸潤, 線維化および肝腫瘍形成の進展におけるエラスチン, EDPおよびエラスターゼ活性を測定している. 引き続き同モデルにおいて腫瘍増殖に関与する下流のc-Metシグナルの動的変化を解析しin vitro系での解析に移行していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各動物モデルから血清および肝組織サンプルを採取し,肝病態(肝脂肪化、炎症、線維化、肝発がん)においてEDP発現量の変動を測定している段階である. In vitro系でのエラスチン作用の細胞腫毎の検証まで至っていないがおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro系の検証を行っていく. マウス肝をコラゲナーゼ環流法で細胞を単離し, エラストカイン投与によるEDPとERCの発現を指標としてシングルセル解析を行うことにより, エラストカインが作用する細胞腫を同定する. ターゲットとなる細胞の初代培養の系を作成し, in vitroにおけるエラスチンの作用を細胞腫毎に検証すると共に, エラスチン誘導フェロトーシスの阻害剤Ferrostatin 1を添加してエラスチン関連シグナルにおけるフェロトーシスの役割を明確にする. NASHおよびNASH肝癌患者の血清中EDPを検出し, NASHの進展とEDP発現の関連を証明する. エラスチンを起点とするEDPおよびERCの活性化がNASHの病態形成・肝発癌に及ぼす影響を解明することにより, エラスチン関連シグナル伝達経路をターゲットとしたNASHの抗肝線維化・抗肝発癌療法の確立を目指す.
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Causes of Carryover |
2022年度の執行の際にわずかな次年度使用額が生じた。 2023年度の消耗品購入に充てる予定である。
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