2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K16059
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中野 暖 久留米大学, 医学部, 助教 (40723987)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肝臓癌 / SGLT2 / SGLT2阻害剤 / 脂肪酸代謝 / 電子伝達系 / プリン、ピリミジン経路 / ミトコンドリア / ケモカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は肝癌細胞株のミトコンドリア内にSGLT2が発現している事、SGLT2阻害剤を肝癌細胞株に投与することで肝癌細胞株の増殖が抑制される事、肝癌細胞株の増殖抑制効果が、アポトーシスではなく、細胞周期の低下による増殖能の低下によるものであることを解明した。また、メタボローム解析とプロテオーム解析、2つのオミックス解析を用いることで、SGLT2阻害剤が1)電子伝達系、2)脂肪酸代謝経路、3)DNA合成経路であるピリン、ピリミジン経路、の3経路が主に代謝の変化を起こし、肝癌細胞の増殖を抑制していることを明らかとした。 我々は、病理部と共同で研究を行うことでヒトの組織を用いてSGLT2の発現についての確認を行った。腎臓の近位尿細管以外にも、心筋組織、脾臓組織、正常ヒト肝組織にもSGLT2が発現していることが確認できた。さらには胆管細胞にもSGLT2が発現していることが確認できた。さらにヒト肝癌細胞組織においてもSGLT2の発現を認めていることを確認し、その発言が背景肝よりも優位に低いことを確認した。 一方でMultiplex解析を用い、肝細胞株であるHep3BおよびHuh7において、共にSGLT2阻害剤投与群とコントロール群におけるケモカインの発現量を比較した。その結果、SGLT2阻害剤を肝癌細胞株に投与することでCXCL1, 8, 10, M-CSFといった癌増殖に関与するサイトカインが減少することが明らかとなった。 これらのことからSGLT2阻害剤は肝細胞癌を直接的および間接的に増殖抑制を起こす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なし。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、肝癌組織のある症例において、無再発期間とその予後の確認を行っている。SGLT2の発現が、肝癌の悪性度および予後との関係を確認することで、SGLT2阻害剤の肝細胞癌に対する効果や関係を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度、海外学会での発表を予定していたが、家庭内の事情の為、現地での参加を行うことが出来なかった。 また、研究内容に対する資材が現状のもので充分であったため。
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