2022 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞後治癒機構における新規マクロファージ分画を基盤とした病態解明
Project/Area Number |
22K16067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中丸 遼 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (50936086)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心筋梗塞に伴う心筋壊死後の損傷治癒は2系統のマクロファージが精密に切り替わることで達成されることが知られているが、その詳細な病態生理については不明な点も多い。近年、顕著な血管再性能を有する新規分画の抗炎症性マクロファージが同定され、下肢虚血における治癒機構の中心的役割を担う可能性が指摘されているが、虚血性心疾患における関与は不明であった。本研究ではST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)症例の血液検体を前向きに採取し、急性期における同マクロファージの血中動態を評価し、心筋治癒機構への関与を明らかにすることを目的としている。
初年度は、一施設での血液検体採取を試験的に実施した。倫理審査委員会でのプロトコール承認後、STEMI発症日から経時的(Day 0、Day 7、Day 30の計3回)に血液を採取し、新規マクロファージ分画を含む複数サブセットにおける発現レベルに関してフローサイトメトリー法を用いて解析を行った。結果的にDay 30におけるサブセットの発現レベルはかなり個体差がみられる結果とり、次年度以降では病的モデルマウスなどを用いた、同マクロファージにおける機能解析も並行して実施する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はパイロット研究が予定どおり実施された。また細胞機能解析も完了し、この点については概ね順調に推移している。一方、パイロット研究において生体内における新規マクロファージ分画発現の挙動に関し個体差が大きいことを踏まえ、今後の実験系や解析の構築が必要となっている。一方で、副次的に臨床データをもちいた心筋梗塞等の虚血性心疾患を発症した患者におけるイベント発生率の解析は無事に終了しており、論文化されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新規マクロファージにおける機能解析に関して基礎的知見の集積を行うとともに、臨床血液検体採取に関するプロトコル作成を行う方針である。
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Causes of Carryover |
調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の節約ができたため
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