2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K16071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻 修平 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70911915)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
ATPを保持する薬剤として考えられたKUS121を心不全モデル動物(圧負荷マウス心不全モデル、頻脈誘発性イヌ心不全モデル)に投与することで心機能の改善、血行動態の改善を認めることが分かった。 マウスの実験では圧負荷心不全モデルを使用し、KUS121を投与した直後から速やかに左室駆出率が改善することを明らかにし、数週間の長期投与によっても催不整脈作用は明らかなものは認めず、心筋の線維化抑制や心肥大の抑制を認めることを画像所見、mRNAの定量から明らかにした。またエネルギー効率の評価としてMRSを用いてPCr/ATP比の測定を行ったところ、KUS121投与後からPCr/ATP比の改善を認め、心不全状態における心筋のエネルギー効率をKUS121が改善させることが分かった。 イヌのモデルマウスでは実際に肺動脈圧やPV loopによる血行動態の解析を行い、心拍数は変えることなく、また体血圧も変化することはなかったが、肺動脈圧は低下し、PV loopによる解析では心臓の拡張能力・収縮能力ともに改善を認めることが分かった。 in vitroの実験ではCaイオン濃度を上昇させることなく、cAMPの上昇も認めなかったため既存の強心薬とは作用が異なる経路で心収縮力を改善させる作用があることを証明した。 既存の心不全治療薬とは作用の異なった新規治療薬になる可能性があることについて論文化し、Biomed Pharmacother. 2024 Jan:170:115850.に報告を行った。
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