2023 Fiscal Year Research-status Report
心不全における核酸分解酵素による炎症制御機構の解明
Project/Area Number |
22K16074
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 宏達 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (30865746)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | DNaseII / 心不全 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症と疾患の関連の重要性は広く認識されているが、心不全における炎症反応が心不全の原因か、心不全に認められる随伴現象なのかは未だに明らかでなく、そのメカニズムについても全容は明らかでない。先行研究において、マウスにおいてオートファジーによるミトコンドリアの分解過程においてミトコンドリアDNA(mtDNA)分解不全が生じ、TLR9を介する自然免疫経路によって心筋炎症および心不全が誘導されるという炎症による心不全の惹起という概念が提唱された。本研究では、マウス圧負荷誘導性心不全モデルにおいて、リソソームにおける核酸分解酵素であるDNaseII活性は心肥大期には上昇を示すが、心不全に至るとそれと比べ低下し、DNaseIIのmRNA発現量も同じ挙動を示すことが明らかになった。DNaseIIの活性はmRNAレベルで制御されていると考えられ、この発現制御の分子メカニズムを解析した。また、DNaseIIの強制発現により、mtDNAが完全に分解されることで心不全を改善できるのではないかという仮説に基づき、DNaseIIトランスジェニックマウス(TGマウス)の解析を行った。TGマウスで心不全期のmtDNA蓄積が抑制され、また心保護的効果がもたらされるかを確認した。さらに、DNaseIIの遺伝子発現制御にかかわることを同定しているmiRNA(miR-X)を制御することで心不全改善が得られるのかについて検討した。修飾核酸(LNA)を用いて、miR-Xを抑制することにより、DNaseIIの発現量が増加し、心不全抑制につながるのではないかと考え、圧負荷誘導性心不全モデルマウスに対し、miR-Xを投与したが、表現型の改善及びDNase IIの発現亢進は得られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の候補として同定していたmicroRNAに対するanti-mirオリゴがin vivoでの検討で心不全抑制効果を示さなかったため、第二の候補を用いて同様の実験を繰り返す必要があるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
DNase IIの発現を抑制する候補として同定したmiR-Yに対するanti-miRオリゴを作成し、今回と同様にin vivoにおける圧負荷誘導性心不全モデルマウスに投与し、効果を確認する。
|
Causes of Carryover |
当該年度予定と実支出額の差のため生じた。翌年分の物品費またはその他として使用予定である。期待されたマウスの表現型が出なかったため、マウスの詳細な解析が次年度に持ち越されたため。引き続き消耗品、施設使用料(前年度第4四半期分含む)などに充当する。
|