2023 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈疾患進展の新規曝露危険因子と好中球を介した機序及び新規予防戦略の探索
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22K16100
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 哲人 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (70725829)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症 / 好中球 / 冠動脈疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
心血管疾患に対する現行のアプローチによる一次、二次予防効果は近年頭打ちの状態であり、さらに効果的な新たなアプローチが求められている。そのためには心血管疾患の残余リスクに対して、現存の介入方法に十分な上乗せ効果を得ることと同時に介入対象を正確に層別化していくことが重要である。本研究では、動脈硬化の進展に寄与する血管内炎症とそれを引き起こす好中球の活性化などに着目している。今回、まず炎症として日常臨床でも最も身近であるCRP濃度について検討した。慢性腎臓病を有する516名に対してのCRP濃度と心イベントとの関連を検討した。同対象患者の中でCRPの中央値は1.43mg/Lであった。CRPが 2.0mg /L以上の患者をCRP高値群とし、低値群と比較したところ、心イベントの発生は、高CRP群で有意に高かった。さらにeGFR45未満と45-60までのサブグループで見たところ、より腎機能の悪い45未満の中の方が、明らかに高CRPの意義が大きかった。CRP2mg/L以上は同患者群の中で有意な予後予測因子であった。これらより慢性腎臓病を有する冠動脈疾患患者の中で、CRPは有意に心イベントと関連していることがわかり、さらにその意義は腎機能が悪化するほど影響が大きいと考えられた。残余リスクとして、慢性腎臓病が進行するほど炎症の意義が大きくなることが示唆された。 また透析患者において冠動脈石灰化、心血管イベントと関連すると言われている副甲状腺ホルモンについて、非透析患者での意義を検討した。これに関しては、腎機能が悪い患者群においても、非透析患者では臨床的に心イベントに対して大きな影響は見出されなかった。 さらに冠動脈血行再建を行った患者において、好中球に関連する因子などの生理活性物質の測定を進めている。現在、測定作業の過程であり、臨床的な検査結果、イベントとの関連を解析へと進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生理活性物質の計測にやや時間を要している。ただし、一定数の計測は完了し、さらに残りの計測計画、並びにその上での臨床的結果、イベントなどとの関連の解析の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
動脈硬化の進展に寄与する血管内炎症とそれを引き起こす好中球の活性化などに着目し、臨床的並びに基礎的検討の両面からその生体反応を追求する。生理活性物質や様々な因子と、背景因子、臨床経過などとの関連についても追求する。 生理活性物質の測定を完了する計画を立て、その上で解析の予定を進めていく。
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Causes of Carryover |
生理活性物質の計測を初年度から行う予定であったが、その準備に時間を要しできなかったため、その予算分が次年度以降にずれ込んでいる。現在は進行しているため、引き続きその計測等を進めていく予定である。
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