2022 Fiscal Year Research-status Report
レチノイドX受容体は内皮間葉転換を介して強皮症関連肺高血圧症を改善するか
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22K16130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼田 玄理 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20834188)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 肺動脈性肺高血圧 / 強皮症肺高血圧 / 内皮間葉転換 / レチノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧(IPAH)モデルマウスおよび強皮症モデル(SSc)モデルマウスを用い、圧容量曲線解析を始めとした生理学的解析およびHE染色・EVG染色による組織学的解析、qRT-PCR・WBによる分子生物学的解析によってそれら2モデルが肺高血圧(PH)を呈していることを確認した。その後、両モデルに対してRXRアゴニストであるacyclic retinoid(ACR)の急性投与が肺動脈圧の低下を急性期にはていさないことを確認した。その上で、ACRの慢性的な投与により、肺高血圧を改善するかどうかを上記の両モデルを使用し、生理学的解析、組織学的解析、分子生物学的解析を用いて確認した。その結果ACRは両マウスにおいて肺高血圧の予防にも効果があり、さらに肺高血圧を改善する作用(リバースリモデリング)があることも確認された。また、両モデル肺組織において内皮細胞マーカーおよび平滑筋マーカーの共免疫染色を行うことで内皮間葉転換(EndMT)を確認し、ACR投与群においてそれらが改善していることを確認した。さらにSSc-PHモデルにおいてCD31陽性細胞を抗体標識ビーズを用いた免疫化学的手法で単離し、内皮間葉転換マーカーであるTwist1のmRNA発現を確認した。SScモデルマウスから単離した細胞ではでは対照群から単離した細胞と比較し、twist1mRNA発現が上昇していたが、ACR投与によってtwist1 mRNA発現が抑制されることを確認した。以上によりIPAHモデル、SSc-PHモデルという二種類のマウスPHモデルにおいてACRはEndMTを改善し、PHを改善することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初2022年度に予定していた肺高血圧マウスモデルを用いたACRの効果については十分に確認することができ、その効果がEndMTに関連していることを確認した。さらに2023年に予定していた肺からの内皮細胞の単離にも着手できており、単離内皮細胞におけるEndMTについての確認も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、単離内皮細胞を用いた細胞実験およびcell lineを用いた細胞実験を行い、PHに対するACRの効果メカニズムについての解明を進めていく。
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Causes of Carryover |
マウスを用いた実験が順調に進み、予定よりも実験経費が削減できたため。 次年度以降に使用する細胞実験試薬やドライ解析費用に対して使用を予定している。
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