2023 Fiscal Year Research-status Report
大規模ナショナルデータベースを用いた、本邦における不整脈診療の質指標の開発
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22K16155
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
利根川 玲奈 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 客員研究員 (00933607)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大規模データ / ナショナルデータ / 不整脈診療 / JROAD-DPC |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の大規模ナショナルデータベースであるJROAD-DPCを用いて不整脈診療の実態を明らかにする研究をまとめた論文を計3本2022年度に出版した. 皮下植え込み型除細動器の使用実態に関する報告(Tonegawa-Kuji R et.al., Heart Rhythm 2022), 植え込み型心電計の使用実態に関する報告(Tonegawa-Kuji R et.al., CJC Open 2022), また、心房細動アブレーションにおいて、低体重(BMI<18.5)が、重大な合併症の一つである心タンポナーデ発祥リスクであることを英文査読付雑誌に発表した(Tonegawa-Kuji R et.al., JACC CEP 2022). また、米国のナショナルデータベースであるNationwide Readmissions Database (NRD)の特徴を掴むために、まずはこのデータベース単独の解析を行った。リードレスペースメーカは2016年に発売された比較的新しいデバイスであり、その周術期合併症、院内死亡率、30日再入院率の経年変化を解析し、それらが高率であるが低下傾向であることを報告した(Tonegawa-Kuji R et.al., Canad J Cardiol. 2022). 上記の活動を介して、個々のデータベースの特性を理解した後に、二つのデータベースを用いて比較研究を行った。心臓植え込みデバイス5種(従来型ペースメーカ、リードレスペースメーカ、植え込み型除細動器、両心室ペースメーカ、除細動機能付き両心室ペースメーカ)の周術期合併症発生率、院内死亡率、30日以内再入院率を比較した(Tonegawa-Kuji R et.al., BMJ Open 2023). 本邦の周術期成績は米国と比較し概ね良好であったが、入院期間の長さが際立っていた。 あと1本の論文のデータを準備中であり、2024年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022から2023年度までで、4本の査読付き英語論文を発表済みである。 また追加で1本の論文を準備しており、2024年度中に発表予定である。 発表したデータは、皮下植え込み型除細動器や植え込み型心電計、リードレスペースメーカーなどの最新の治療法に関するものである。また、植え込み型心電計の日米での治療方法や成績の特徴を報告した論文も発表しており、これらは本邦の現状を客観的に評価する報告として価値が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度も、引き続き、本邦における不整脈診療の質指標の開発の基礎となるような報告を継続していく。具体的には、JROAD-DPCデータベースより、アブレーションおよび左心耳閉鎖術を行った症例を抽出し、解析済みであるため、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
概ね順調に使用している。 Open accessでの論文掲載を予定しており、雑誌により値段が異なるが、高い雑誌では論文1本掲載で50万円ほどになるので、その費用として予定している。
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