2023 Fiscal Year Research-status Report
DNA構造多型同定による、不整脈原性右室心筋症の新たな遺伝的背景の解明
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22K16157
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
園田 桂子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 上級研究員 (90824417)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不整脈原性右室心筋症 / 遺伝性心疾患 / DNA構造多型 / ロングリードシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロングリードシークエンス (LRS) やMultiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MLPA) 法を用いてデスモソーム関連遺伝子のDNA構造多型(SVs)をスクリーニングすることにより、今まで不明であった不整脈原性右室心筋症(ARVC)患者の遺伝的背景を明らかにすることを目的とする。 R4年度は、MLPA法を用いてPKP2及び他のデスモソーム関連遺伝子の一部のエクソンについて、欠失・重複の有無をスクリーニングし、発端者153名中2名(1.3%)がPKP2の欠失を有していたことが分かった。またDSG2のSVsをスクリーニングするため、ナノポアシークエンサーによるターゲットシークエンスを計画し、それに用いるCas9プローブを設計した。 R5年度は発端者153人の今までの遺伝子検査結果を再検討し、サンガー法のみ施行されていた患者に対し追加でショートリード法によるターゲットシークエンスを施行した。その結果、DSG2変異を複数持つ発端者が62人もいること、さらに家系解析から大部分がhomo接合および複合hetero接合であることが分かった。劣性遺伝であれば複合hetero接合かそうでないかの判断が非常に重要となる。よって家族のゲノムがない15人については、PCR産物のロングリードシークエンスを行い、DSG2変異が複合hetero接合であることを直接確認した。これらの実験結果から、原因遺伝子が不明の発端者は研究開始当初の63人から52人に減った。 R6年度は52人に対しDSG2のSVsをロングリードシークエンサーを用いて検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
サンガー法で用いていたPCRプライマーが、比較的多いDSG2変異と連動する多型を含んでいることが分かったため、サンガー法のみ施行していた患者に対しショートリード法によるターゲットシークエンスを施行した。複数DSG2変異が複合hetero接合なのか否かを判断するため、PCR産物のロングリードシークエンスを施行した。これら予定外の実験を追加したことにより、課題の進歩に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度中に、発端者52人を対象にナノポアシークエンサーを用いたターゲットシークエンスを完了する。
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Causes of Carryover |
R5年度に施行予定であった、ナノポアシークエンサーによるターゲットシークエンスを用いたスクリーニングが、他の実験を施行する必要性が生じ、R6年度に施行することになったため。
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