2023 Fiscal Year Annual Research Report
RNA認識受容体の2型自然リンパ球制御機構から見た気管支喘息新規治療探索
Project/Area Number |
22K16165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 崇史 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30803118)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 自然免疫 / House dust mite / ILC2 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息病態形成におけるMDA5の役割を検証するため、卵白アルブミンやダニ由来抽出物を用いたマウス気管支喘息モデルを作成し、野生型マウスとMDA5KOマウスで表現型の比較を行った。モデルにより軽度の差異が示唆されたが、野生型マウスにおいて好酸球性気道炎症が惹起されることを確認した。両群の比較においては、MDA5KOマウスにおいて気管支肺胞洗浄液中の好酸球の増多や、肺組織病理のHE染色における、気道周囲を中心とした炎症細胞の浸潤が顕著に認められた。メサコリン誘発の気道過敏性試験においてもMDA5KOマウスにおいて気道過敏性の増悪が認められた。肺組織由来のRNAを用いた、量的PCR法によるアレルギー性炎症に関わるメディエーターの測定では、type 2 cytokineの代表であるIL-5やIL-13は、野生型でもMDA5KOマウス群双方で上昇していたが、両群間での明らかな相違は認められなかった。一方で気管支肺胞洗浄液を用いたマルチプレックスサイトカインアッセイを施行した所、上記メディエーターとは異なる因子で、両群で上昇があり、なお且つMDA5KO群において上昇がより顕著であるものが同定された。 一方でIL-33を用いた肺ILC2の活性化の比較では、野生型とMDA5KOマウスにおける肺ILC2の総数はほぼ同等であった。IL-33の再刺激によるIL-13産生能は両群で軽度差を認めた。一方で細胞質内のRIG-I受容体のリガンドであるLyovec poly(I;C)を用いた刺激では、IL-33刺激よりは低いものの、IL-13産生が認められた。しかし、この事象はMDA5KO ILC2でも認められ、MDA5に非依存的と推察された。 MDA5は気管支喘息病態において保護的に働き、またRIG-I受容体リガンドのILC2における新知見が示唆された。
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