2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患の早期における呼吸筋力測定意義と有用性の確立
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22K16189
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
松尾 裕美子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (30896577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COPD / 吸気・呼気CT / 呼吸筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患 (COPD)では、気流制限による動的肺過膨張が運動耐容能低下を引き起こし、予後を悪化させるため、肺過膨張を反映する簡便なモニタリング指標の確立が重要である。 本研究では、吸気・呼気CT画像解析を用いて、従来吸気CT画像で評価してきた気腫性病変のみならず、その前段階にあたる肺過膨張と関連するgas-trapping領域の定量的測定を行っている。2023年4月時点67症例に対して、研究参加の同意取得及び検査を行った。本研究で実施しているCT画像解析は、吸気・呼気CTの位置合わせを行い、対応するボクセルごとのCT値を算出して、そのCT値の差から肺野を3領域に分類し、特にgas-trapping領域を定量している事から多くの時間を必要としている。現時点で、60症例の画像解析がすでに終了し、着実に研究を進める事が出来ている。また、呼吸筋力測定にて、同じく肺過膨張という病態生理を反映すると考えられるPImax測定を実施した。 今後、呼吸筋力低下と肺の形態変化の関連を詳細に明らかにすることで、呼吸筋力測定を早期から実施することの意義やモニタリング指標としての有用性を確立していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まではコロナ禍の影響を受けて、登録、検査を進める事が出来ない期間もあったために、登録者数は、67症例と目標よりもやや少ない状況である。しかしながら、最近になり、研究対象者から順調に同意が取得できており、検査数を増やすことができている。67例の症例登録者のうち、65例で呼吸筋力データが収集できており、画像データに関しては67例全例のデータが得られている。そのうち、60例はすでに定量的画像解析を終了している。欠損データは少なく、おおむね順調な実施状況である。 本研究の参加者は、2011年より継続している外来クリニカルパス適用患者を対象としたCOPDコホート研究も並行して参加している。COPDコホート研究としてのデータ収集も同時に達成できており、現在、吸気・呼気CT画像解析パラメターを用いた画像フェノタイプに関連する論文は投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本学附属病院通院中の外来患者を対象に研究の説明を実施し、同意取得を推進する。画像データが得られた時点で、随時画像解析を実施する。
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Causes of Carryover |
順次、吸気・呼気CT画像解析を画像解析研究補助員の協力を得て行っているが今年度の目標よりもやや少ない状況のため、次年度使用額が生じた。現在は、順調に登録数が増えていることから、次年度には、さらに画像解析を進め、得られたすべてのデータを用いて、統計学的手法により、呼吸筋力パラメター(PImax, PEmax)と、呼吸機能検査データ、吸気・呼気CT画像解析で得られるパラメターとの関連性を明らかにする。統計解析には、JMP software ver.11 (SAS Institute, Cary, NC, USA)を使用する。研究成果は、国内外の学会へ発表し、最終的に、研究論文として報告を行う。
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