2023 Fiscal Year Research-status Report
多層的オミクス解析によるCOVID-19重症化の病態解明
Project/Area Number |
22K16193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 貴裕 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70939587)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | COVID-19 / 難治化 / プロテオミクス / 血清細胞外小胞 / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、血清細胞外小胞(EV)の最新プロテオミクス、トランスクリプトーム解析を含むマルチオミクス解析を駆使してCOVID-19肺炎の診断・病勢把握・治療反応性に有用なバイオマーカー(BM)探索に挑戦することで、重症化予測因子解明や新規病態の解明、治療応用を目指すものである。そこで、我々は、COVID-19患者のうち、中等症、重症患者、健常の血清からEVを単離し、網羅的探索としてノンターゲット質量分析(DIA法)を提出して多数の血清蛋白を同定した。その中から、重症例のうちステロイド治療抵抗性だった難治例と、非難治例とを比較することで、難治化BM分子:MACROH2A1を同定した。この分子は、同時に採取していた末梢血単核球(PBMC)のシングルセル解析(scRNA-seq)、また公開データのCOVID-19肺炎の肺組織scRNA-seqにおいて、単球・マクロファージで有意に発現が上昇していた。またパスウェイ解析、分子ネットワーク解析では、単球中のMACROH2A1に関係するパスウェイが血清プロテオームに反映されていた。同時に、in vitroで、単球のセルラインにTLRリガンド・IFNγ刺激を加えると実際にこの分子が誘導されてくることが判明した。したがって、MACROH2A1は、難治化BMであると同時に、単球において重症COVID-19の病態に関与している鍵分子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年度に、オミクス解析より同定した、COVID-19難治化バイオマーカー分子について論文化、特許出願を果たした(Kawasaki T, et al. Inflamm Regen. 2022;42(1):53.、特許出願 2022-167186)。この成果につき、International Society for Extracellular Vesicles (ISEV) 2023 annual meeting(2023年5月)、第44回日本炎症・再生医学会(2023年7月)で発表をおこなった。後者では、優秀演題として表彰された。
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Strategy for Future Research Activity |
より大規模な症例数でも同様の傾向が検証できるのか、ELISAなど実臨床の現場で利用できる測定系でも検出可能かを検討するため、追加で検体を収集し、解析をおこなっていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症の収束にともない、追加の患者検体の収集が遅れたため、次年度使用額が生じた。今回、この資金を使用し、検体収集および解析、学会発表を行う予定である。
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Research Products
(2 results)