2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント阻害薬による肺障害の病態解明と予防的治療の開発
Project/Area Number |
22K16194
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山口 覚博 広島大学, 病院(医), 助教 (90812991)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | HMGB1 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 肺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は免疫チェックポイント阻害薬による肺障害の病態解明を目指している。臨床検体で検討した結果から血中HMGB1が高いことが免疫チェックポイント阻害薬による肺障害の発症リスクを上昇させることを確認している。また担癌状態がHMGB1の上昇に寄与していることも確認している。これらを元に担癌モデルマウスに抗PD-1抗体を投与することでHMGB1と免疫チェックポイント阻害薬の肺障害の関連を明らかにすることを目指し研究を進めている。研究開始当初から現在に至るまで、免疫チェックポイント阻害薬による肺障害を定量的に評価可能なマウスモデルの作成ならびに肺障害を定量するためのエンドポイントを決定するための条件検討を継続的に実施している。現状までにマウスに移植するセルラインの選定を行いLewis lung carcinoma(LLC)とすることを決定した。LLCを皮下移植したマウスに抗PD-1抗体を投与することで「気管支肺胞洗浄(BALF)や組織を用いた肺の炎症細胞浸潤」や「dry/wet ratio」、「ハイドロキシプロリンの定量」など肺の炎症や血管透過性の亢進、線維化を定量する指標の中で今回の研究に適した評価尺度の選定を行ってきた。肺組織やBALFを用いた炎症細胞浸潤の定量的検討では抗PD-1抗体によって生じる肺障害を評価することが難しい状況であった。dry/wet ratioやハイドロキシプロリンの定量も指標とすることは困難と判断しており、現在は肺のホモジネートを使用してELISAで炎症性蛋白の定量を行うことで抗PD-1抗体による肺の炎症の悪化を定量的に測定できるか検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肺障害を定量的に評価するための尺度の選定に難渋していた。2023度末に肺のホモジネートを用いた評価方法が抗PD-1抗体による肺の炎症を定量的に評価する尺度として有用なことを示唆するデータを得ることができたため、2024度からは研究の進捗を加速させたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
肺のホモジネートを用いたELISAキットを用いた蛋白定量が抗PD-1抗体による肺の炎症の評価に有用な可能性がたかく、今後はIL1β・TNFαなど複数の蛋白について肺の炎症の評価尺度となりえるか検証する。並行してこの現象にHMGB1がどのように関わっているかについて、担癌状態のマウスの血液中HMGB1を定量したり、HMGB1を抑制する薬剤(アスピリン・グリチルリチン・エダラボン・トロンボモジュリン)でこの肺の炎症が抑制可能か検証することを想定している。
|
Causes of Carryover |
本来は肺障害を定量可能な指標を2022年度に選定し2023年度は治療介入を目的とした実験を行うための抗体などの試薬購入を予定していたが、肺障害を定量可能な指標の選定に時間を要したため2023年度に予定していた実験が十分実施できなかったため、残高が生じた。これについては2024年度に2023年度に予定していた実験が実施可能になったため、早期に進めることを予定している。
|