2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Novel Therapies for Cardio-Renal Damages Based on Kidney Glomerulus-Specific Multi-Omics Analysis
Project/Area Number |
22K16210
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野口 和之 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 研究員 (40795259)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心腎連関 / 腎糸球体 / マルチオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、単一臓器の障害のみならず、臓器間の相互作用が疾患障害を加速させる病態概念である、臓器連関が注目されている。なかでも心血管系と腎臓における「心腎連関」は、その代表的な病態である。心血管病は悪性腫瘍と並んで我が国の主要な死因であり、腎機能障害や蛋白尿が持続する慢性腎臓病は国民の10人に1人が罹患するとされ、進行すれば透析療法の適応となり医療保険財政を圧迫する。このため、両疾患をともに増悪させる心腎連関の病態解明、とりわけ心臓と腎臓の病態にリンクし、障害を増悪させる因子の探索は、学術的にも社会的にも重要な課題である。しかし、その詳細なメカニズムはいまだ明らかでなく、病態を再現する有用な疾患モデルや特異的治療法も存在しなかったが、心腎連関病態モデルマウスであるANSマウスの開発や、次世代シーケンサーや質量分析器など、新たな解析手法を用いることで、体組織での遺伝子発現や代謝産物を網羅的に解析することが可能となってきていることから、心腎連関病態においても、これらの技術の応用によって解析を進める機運が高まっている。 心腎連関病態の新規治療法の確立のための一手として、本研究では心腎連関、特に腎病態に関与する治療ターゲット因子を同定することを目的ととした。 心腎連関病態モデルマウスであるANSマウスと対照群を作成し、ANSマウスに心腎機能障害が顕在化する介入4週目に採取した腎臓から、腎糸球体を単離し、RNA-Seqによるトランスクリプトーム(遺伝子発現の総体情報)解析を実施した。この解析結果より、腎障害の中でも糸球体障害に特化した原因/結果としての遺伝子プロファイリングを網羅的に解析し、いくつかの因子を治療ターゲット候補として同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心腎連関病態モデルマウスから腎糸球体を単離した上でRNAシークエンスは実施し、病態に関与する候補因子もいくつか同定できたが、新たに同一個体の心臓についても解析を実施した方がより価値のある研究となると判断し、現在追加解析の準備を進めている。マルチオミクス解析については追加解析の結果次第でRibo-Seq/メタボローム解析を追加すべきか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後心腎連関病態モデルマウスであるANSマウスから同一個体の腎糸球体及び心臓を再在し、両者についてRNAシークエンス解析を実施する。解析結果をさらに解析することで、両臓器をつなぐ共通の病態関与因子を同定する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、参加を予定していた学会が現地開催からオンラインとなった。このため旅費として計上していた予算が必要無くなった。次年度以降の解析に使用する予定である。
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