2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾によるマクロファージの機能変化を介した、腎線維化に対する治療法の開発
Project/Area Number |
22K16221
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 健介 広島大学, 病院(医), 助教 (40770326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マクロファージ / SET7/9 / 免疫記憶 / epigenetics |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージ(Mφ)は、腎損傷から修復、線維化の全プロセスに大きく関与しているが、Mφの除去が腎障害・線維化に与える影響は単純ではなく、その詳細な機序については未解明のままである。申請者らは、Mφの分極ではなくMφの遊走/浸潤能を制御することで、腎線維化が改善することを明らかにした(Sasaki K et al. J Am Soc Nephrol. 2021)。近年、Mφの環境や刺激による変化には、エピジェネティックな遺伝子制御が関与することが報告されている。本研究では、Mφにおけるヒストンメチル化酵素SET7/9の腎線維化への関与を明らかにし、MφのSET7/9阻害がMφの表現型や機能、そして他の細胞集団に与える影響を明確にする。さらに、SET7/9のもつ“Trained immunity”と言われる免疫記憶を行うプロセスが腎線維化に与える影響を明らかにするとともに、そのメカニズムを解明する。 LysMCre-SET7/9f/f マウスについては、申請者らはLysMCreマウスを日本チャールスリバーに依頼し、SET7/9f/fマウスを筑波大学生命科学動物資源センターに作製を依頼し、これらを組み合わせて作製した。ノーマルマウスにおいて虚血再灌流モデルを作製し検証的実験を行った結果、IRI後、day0、day1、day3、day5、day7の腎臓ではday5においてSET7/9蛋白の発現が優位に上昇していた。免疫染色では、day1-3ではSET7/9発現は腎尿細管細胞の核に優位に発現していたが、day5では腎間質に優位に発現していた。MφマーカーF4/80との共染色では、多くの細胞でF4/80はSET7/9と染色性を認めた。次にLysMCre-SET7/9 f/fマウスにおいて虚血再灌流モデルを作製し、SET7/9の発現がないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LysMCre-SET7/9f/f マウスの作製が完了したため、今後も計画を予定通り遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
LysMCre-SET7/9f/f マウスの作製が思うように進まず、当初はやや遅れた印象を受けるが、ようやく作製できたため今後は順調に計画を遂行できると考える。また、幸運にもLysMCre-SET7/9f/f マウス作製時にsystemic SET7/9 KOマウスも作製できたため、こちらについても同時に解析を始めている。 今後はSET7/9の遺伝子的阻害が、腎障害そして腎線維化を抑制することを、qRT-PCRやウェスタンブロット、免疫染色を用いて明らかにし、FACSにてMφの表現型に与える影響を検討する。さらに、IRIを2回行うモデルを作製し、Mφの免疫記憶が腎線維化に与える影響を評価し、また、免疫記憶に関わるエピジェネティックな遺伝子制御因子をChIP seq、RNA Seqを用いて特定する。
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