2022 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージにおける交感神経と副交感神経を介した抗炎症効果の相互作用の解明
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22K16222
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
牟田 久美子 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (10728546)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自律神経刺激 / Tetraspanin-13 / 抗炎症効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスマクロファージのRAW 264に様々な条件下で自律神経刺激を与えることで抗炎症効果を評価した. RAW 264に炎症を惹起させるリポポリサッカライド(LPS)と, α7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストのGTS-21あるいはβ2アドレナリン受容体アゴニストのサルブタモールを投与すると,いずれも濃度依存的にTNF-αの値が低下し, 抗炎症効果が得られた.さらに,GTS-21,サルブタモールを同時に投与すると,単独で投与した場合と比較して, TNF-αの値はさらに低下していた. さらに, 相乗的抗炎症効果のメカニズムを探るため, α7ニコチン性アセチルコリン受容体とβ2アドレナリン受容体の下流遺伝子の同定を試みた. LPSとGTS-21またはサルブタモールを投与したマウスマクロファージのRNA-sequencingのデータから, 共通して発現が増強する遺伝子を複数抽出した. これらの候補遺伝子の発現が副交感・交感神経の同時刺激によってどのように変化するかを確認するため, LPSとGTS-21、サルブタモールを同時に投与し, 4時間後および24時間後の遺伝子発現をリアルタイムPCRで確認したところ, GTS-21またはサルブタモールの単独投与と比較して, 同時投与によってたしかに遺伝子発現が増強していた. 以上から, 迷走神経および交感神経刺激によって相乗的な抗炎症効果が得られ, その効果に関与する候補遺伝子の抗炎症効果も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスマクロファージでの迷走神経及び交感神経刺激による相乗的な抗炎症効果を確認し、重要な役割を持ちうる候補遺伝子を抽出できているため、当初の計画に沿って進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展望として、副交感・交感神経の同時刺激によって発現が増強する候補遺伝子の抗炎症効果を確認し、原因遺伝子を同定する。α7ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストあるいはβ2 アドレナリン受容体アゴニストの下流遺伝子を制御(過剰発現およびノックダウン)することで、炎症性サイトカイン、マクロファージの性質変化を明らかにする。抗炎症効果に関与する細胞内シグナル伝達因子を同定する。遺伝子組換えマウスを用いて、生体内における適切な自律神経バランスを見出す、ということを考えている。
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Research Products
(1 results)