2023 Fiscal Year Research-status Report
tRNA 修飾酵素CDKAL1による糸球体足細胞機能制御の分子メカニズム解明
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22K16224
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永芳 友 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (60908028)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | RNA修飾病 / CDKAL1 / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は各種Cdkal1ノックアウトマウスを用いた解析を実施した。まず、全身型Cdkal1ノックアウトマウスと膵β細胞特異的Cdkal1ノックアウトマウスにおけるアルブミン尿の比較を行なった。その結果、全身型Cdkal1ノックアウトマウスで有意なアルブミン尿の増加を認めた。全身型Cdkal1ノックアウトマウスに、5/6腎臓摘出やストレプトゾトシン投与を行い腎負荷を行なった。その結果、全身型Cdkal1ノックアウトマウスにおいて有意なアルブミン尿の増加を認めた。加えて血中クレアチニンの有意な増加を認めた。また全身型Cdkal1ノックアウトマウスに腎糸球体における形態学的変化を行うため、PAS染色やHE染色を行なったが明らかな形態学的異常は認めなかった。次に、より詳細な評価を行うため、電子顕微鏡写真を撮像したところ、全身型Cdkal1ノックアウトマウスにおいて足突起消失(foot process effacement)を認めた。このことから、Cdkal1は腎糸球体足細胞における濾過機能にとって重要な役割を担っていることが示唆された。また初年度で作成したCdkal1ノックアウト足細胞(E11)での表現型を詳細に検討するため、特定のコドン5つ挿入したルシフェラーぜを設計しプラスミドを作成した。そのプラスミドをトランスフェクションし、各コドンでの翻訳効率を評価したところCdkal1ノックアウト足細胞においてリジンコドン(AAA,AAG)において有意な翻訳量の低下を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cdkal1ノックアウトマウスにおける尿生化学的検討から形態学的評価まで、円滑に進行しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、これまでに作成したCdkal1ノックアウト足細胞や、Cdkal1ノックアウトマウスを用いて、Cdkal1欠損による足細胞機能障害の詳細な分子メカニズムの解明を実施する。具体的にはリジン含有量の多い足細胞機能関連タンパク質の発現状態をターゲットタンパク質とし、そのターゲットタンパク質を過剰発現することで足細胞機能が改善するかを評価・検討する。
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