2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K16225
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
駒田 敬則 自治医科大学, 医学部, 講師 (90824730)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症 / 低カリウム血症 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
是正困難な低カリウム血症(低K血症)は、感染症や心疾患の死亡リスクを上昇させるだけでなく、低K血症性腎症を発症して慢性腎臓病(CKD)に進展しうる。低K血症性腎症は、組織学的に尿細管間質の細胞死・炎症・線維化や嚢胞形成を特徴とするが、その発症機序は不明である。 インフラマソームは細胞内カリウム流出によって活性化され、炎症と細胞死を誘導することから、低K血症におけるインフラマソームの関与を考えた。本研究では、K欠乏食を用いて低K血症動物モデルを作製し、その解析を行った。K欠乏食により、すみやかに腎組織のK低下が認められた。次に、野生型とインフラマソーム関連分子(NLRP3、ASC、Caspase-1/-11)の各ノックアウトマウスを用いて比較した。野生型では腎障害と炎症が認められた一方、NLRP3欠損、ASC欠損マウスでは腎障害と炎症が著減したが、Caspase-1/-11欠損では軽減しなかった。この炎症細胞浸潤は、免疫担当細胞のNLRP3・ASCに依存しないことが判明した。レポーターマウスの実験では、インフラマソームの形成が認められず、インフラマソームに依存しないNLRP3・ASCの働きが考えられた。マウスとヒトの初代細胞を用いた細胞実験において、低K培地によって炎症経路が活性化し、低K環境自体が炎症を惹起することがわかった。またこの炎症は、NLRP3・ASC依存的であることも判明した。さらに低K環境に関与する分子機序を解明し、ヒト低K血症性腎症の解析を行う予定である。
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