2022 Fiscal Year Research-status Report
COVID-19に関連する急性腎障害におけるD-アミノ酸の意義
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22K16237
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮川 太郎 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (20738207)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / D-アミノ酸 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う急性腎障害(Acute Kidney Injury、以下AKI)の病態を解明すること、およびその進展を抑制することである。そのため、第一に2020年4月15日から2021年3月24日の間、金沢大学附属病院へ入院したCOVID-19患者50名から得られた臨床的特徴を解析した。 解析した50名のうち、AKI合併例は18例、AKI非合併例は32例であった。両群間(AKI合併例:AKI非合併例)の比較において、71.4歳:63.6歳とAKI合併例が高齢であったが有意差は認めなかった(p=0.09)。性別、身長、体重、合併症(糖尿病、高血圧)、重症度(人工呼吸器併用、ECMO併用、心筋障害)の有無に差はなかった。AKI合併例において、有意に平均入院期間が長かった(32.4日:16.1日、p=0.002)。その他、AKI合併例は、入院時の血清Cr値が高く(1.08 mg/dL:0.65 mg/dL、p=0.005)、入院中の尿中βミクログロブリン高値(25128 μg/L:7174 μg/L、p=0.04)、尿中NAG高値(33.4 IU/L:12.0 IU/L、p=0.01)およびFDP-Dダイマー高値(28.8 μg/mL:4.3 μg/mL、p=0.003)といった検査値異常の特徴を有していた。なお、AKI合併の有無で転帰に差は認めなかった。引き続いてD-セリンを含めたキラルアミノ酸のメタボロミクス解析を予定とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床的特徴に引き続き、D-セリンを含めたキラルアミノ酸のメタボロミクス解析を予定とした。しかし、研究を進めるなかでCOVID-19における流行により、変異株が本研究の解析対象としたアルファ株・ベータ株・デルタ株からオミクロン株へと推移した。前者の変異株は世界的な検出数が大幅に減少していることから、今後の臨床的意義を踏まえ、解析対象を再検討した。以上を踏まえ、オミクロン株を変異株の主体とし、金沢大学附属病院へ入院したCOVID-19患者を研究対象とした。 上述の理由から、研究の進捗が遅れる結果となったが、当研究室における経験豊富な研究協力者と密接に連絡、相談しながら研究を進める方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
改めて、オミクロン株を変異株の主体とし、金沢大学附属病院へ入院したCOVID-19患者を研究対象とした。まずAKI合併の有無により改めて臨床的特徴を解析し、得られた保存血清および尿検体を用いてD-アミノ酸、ことにD-セリンを含めたキラルアミノ酸のメタボロミクスを行う。さらに、AKI合併の有無によってキラルアミノ酸代謝マップをそれぞれ作成する方針である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗のに遅れが生じ、購入を予定していた薬品・試薬や機器を未購入であること、成果発表が未実施となり、次年度使用額が生じている。再検討した研究対象の臨床的特徴の収集とデータ解析を進め、適切に助成金を使用する予定である。
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