• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

コラーゲンの切断産物エンドトロフィンが糸球体内皮DNA損傷と腎線維化をつなぐ因子

Research Project

Project/Area Number 22K16252
Research InstitutionKanazawa Medical University

Principal Investigator

藤井 愛  金沢医科大学, 医学部, 助教 (20813629)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords糖尿病性腎症 / 糸球体内皮細胞障害 / Ⅵ型コラーゲン
Outline of Annual Research Achievements

糖尿病性腎症(腎症)は進行性に病理学的変化を伴い、蛋白尿が出現する病態である。中でも、結節性病変は腎障害の予後予測因子として知られ、その構成にコラーゲンⅥが関与していることが報告されている。これまでヒト培養糸球体内皮細胞を用いてDNA損傷誘発薬であるマイトマイシンCによる、DNA損傷がゴルジ体に存在するコラーゲンⅥを分泌誘導することを報告している。今回そのメカニズムを応用し、糖尿病モデルマウスにおける内皮細胞障害と病理学的変化について検討した。進行性に腎症が出現するKK-Ta Akitaマウスに着目し、コラーゲンⅥが糸球体内および傍糸球体尿細管基底膜へ蓄積することを免疫組織染色にて確認した。ヒトで観察される結節性病変はコラーゲンⅥが主体であるのに対し、KK/Ta Akitaマウスで観察した病変はコラーゲンⅣとコラーゲンⅥが混在していた。
DNA損傷誘発薬マイトマイシンC(1・2㎎/kg 腹腔内投与)を用い、糸球体内皮細胞DNA損傷を惹起し、週令18で薬剤投与後、週令20で24時間畜尿を行い、安楽死(麻酔投与後、頸椎脱臼する)させ、サンプルを収集した。腎組織切片を用いたリアルタイムPCR法では、Wild type (WT)群およびKK-Ta Akita群ともにCOL4A1・TNF・FIB・SMAのmRNAの増加がみられるも、統計学的優位差を認めなかった。一方で、COL6A3に関しては、WT群ではマイトマイシンC刺激によるCOL6A3の発現量は減少し、KK/Ta Akita群は増加傾向を示した。またDNA損傷誘発薬を使用するも、結節様病変に一致したコラーゲンⅥの蓄積を確認することができなかった。
結節性病変の形成には、一時的なDNA損傷が誘因ではなく断続的な損傷刺激が必要である可能性や糸球体内皮細胞の単独障害ではなく、周囲の構成細胞との相互作用にて形成される可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

進行性に腎症が出現するKK-Ta Akitaマウスに着目し、自家繁殖に成功し、KK-Ta Akitaマウスにおいて結節様病変の形成を確認した。しかし、免疫組織染色にてヒトと糖尿病モデルマウスでは結節性病変の構成成分が異なることが示唆された。その背景に、ヒトは高血糖以外に高血圧、喫煙など内皮細胞DNA障害をきたす外的要因がある一方でマウスでは高血糖による障害が主体である。そこで、モデルマウスでのコラーゲンⅥの蓄積を検討するためDNA損傷誘発剤を用い、糸球体病変の構造変化を検討した。結果は、結節様病変はみられるもののコラーゲンⅥが主体ではなかった。
ヒト同様の変化を検出することに難渋しているが、断続的な内皮細胞障害や結節性病変の形成には内皮細胞と糸球体構成細胞との相互関係について検討する必要がわかった。
上記のように、当初想定した現象とは異なる結果ではあったが、そこから新たな実験計画をすすめることができている。

Strategy for Future Research Activity

動物実験において、糖尿病性腎症に特徴的な結節性病変がヒト同様にコラーゲンⅥにより構成されることを検証できなかった。このことは、動物モデルにおける糸球体病変の構造変化には断続的な内皮細胞障害が関与することや内皮細胞と糸球体を形成する内皮細胞以外の構成細胞との相互関係について検討する必要が示唆された。そこでDNA損傷誘発薬(マイトマイシンC)の投与回数や期間を見直し、加えて内皮細胞と内皮細胞以外の糸球体構成細胞との関連を検討する。方法は、培養血管内皮細胞とメサンギウム細胞を混合培養し、メサンギウム細胞の増殖が単独培養に比べてどう変化するのか、また内皮細胞DNA損傷がメサンギウム細胞への関与を検討する。また、コラーゲンⅥの糸球体内蓄積の意義については、尿細管上皮細胞や線維芽細胞の培養上清中にコラーゲンⅥのリコンビナント蛋白を投与し、炎症や線維化マーカーの変化を検証する。ヒトにおいてコラーゲンⅥは、構造維持や保持に有用な分子であり、他分野(皮膚・関節)において損傷部位のリガンド・接着分子として働くことが知られている。
上記を検証することで、腎臓分野においてDNA損傷後の構造変化としてコラーゲンⅥが接着分子としての役割を果たしているのか、あるいは炎症の惹起に関与しているのかを明らかにする。

Causes of Carryover

動物実験にて、モデルマウスを用いた検討は予定より少ない予算で研究を進めることができたため次年度使用額が生じた。一方で結節性病変の形成やコラーゲンⅥの蓄積意義については、糸球体内皮細胞単独ではなく、その他の細胞との相互作用を検討する必要がある。次年度の研究には、培養実験での検討が必要であり、予算を有効に活用する。

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi