2023 Fiscal Year Research-status Report
イメージング質量分析によるIgA腎症口蓋扁桃粘膜免疫異常の病態と予後予測因子探索
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22K16253
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
辻 雄大 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00936312)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 扁桃 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症は、高頻度な慢性糸球体腎炎で、20年の経過で約40%が末期腎不全に至る。IgA腎症の病因仮説として、糖鎖異常IgA1とそれに反応する自己抗体の形成に基づく、Multi-hit mechanismが提唱されている。IgANの治療に用いられる口蓋扁桃摘出術+ステロイドパルス療法はIgANの腎予後改善に有効であるが、その分子生物学的な有効機序は解明されていない。本研究ではプロテオミクスを用いて、病巣とされる口蓋扁桃の本病態に関与する分子の決定とその局在を明らかにし、さらには、臨床的に有用なバイオマーカー開発につなげる。 本年度は、IgA腎症患者26例と慢性扁桃患者14例の扁桃を取得した。各組織構造(胚中心・帽状域・T細胞領域・陰窩)のプロテオミクスのために必要な回収面積を検討した。扁桃組織連続切片を作製後、同一の連続した各組織構造を回収し、溶解剤を用いて各組織構造別にタンパク質を抽出した。プロテオミクスに必要なタンパク量を安定して回収できる面積を得ることができた。次にIgA腎症患者と慢性扁桃患者の扁桃を各組織構造別にプロテオミクスを行った結果、胚中心3676個・帽状域3523個・T細胞領域3524個・陰窩3260個のタンパク質リストを得ることができた。 今後は有意に増減するタンパク質に着目して、扁桃における局在を明らかにして、検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の機器の故障等の問題により進捗状況がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
IgA腎症患者と慢性扁桃患者の扁桃における各組織構造別のプロテオミクスを行った結果、胚中心・帽状域・T細胞領域・陰窩のタンパク質リストが各々3000個以上を得ることができたことで、有意に増減するタンパク質に着目して、扁桃における局在を明らかにして、検証を行う。またMulti-hit mechanismで提唱されているように、IgA腎症は扁桃だけではなく血中IgA免疫複合体や腎糸球体における変化も重要であると考えられる。扁桃プロテオミクスから得られた多数のタンパク質リストから、血中IgA免疫複合体や腎糸球体に関連する可能性のあるタンパク質に着目しながら、臨床的に有用なバイオマーカー開発につなげる。
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Causes of Carryover |
2022年度の機器故障等により次年度使用額が生じた。2024年度に質量分析に関わる費用一式とその結果の検証実験(免疫染色やウエスタンブロッティングなど)のための費用一式に使用する計画である。
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